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社説(4/9):自殺の予防対策/生活苦への一手を早急に - 河北新報

社説

自殺の予防対策/生活苦への一手を早急に

 2019年中の自殺の状況が発表された。自殺者数は2万169人(前年比671人減)で、1978年に始まった統計上、過去最少となった。2010年以降、10年連続で減少している。自殺者数が最も多かった03年の3万4427人と比べると、痛ましい事象が大幅に抑制されてきたことがうかがえる。
 関係省庁や機関、民間団体などによる努力の成果であり、実績は大いに評価できる。ただ、数字だけを見れば、1年間に宮城県内の中規模の町の人口と同じだけの人が自ら死を選んだことになる。町一つが消えたに等しい。非常事態はいまだ続いていると言える。
 40年余にわたる継続した集計から、幾つかの特徴が見て取れる。一つは、常に男性の数が女性を上回っている点だ。19年は実に女性の約2.3倍に上った。月別では年度末の3月に増え、2月、12月は減る傾向にある。自殺死亡率(人口10万当たりの自殺者数)は、北東北の3県が比較的高い数値を示すことも見落とせない。
 厚生労働省は「自殺の多くは多様かつ複合的な原因、背景があり、さまざまな要因が連鎖する中で起きている」と分析する。具体的には生活苦や多重債務といった「経済・生活問題」、夫婦関係の不和をはじめとする「家庭問題」、職場の人間関係を中心とした「勤務問題」などが相まって、うつ病に代表される「健康問題」が生じ、自殺行動につながっているというわけだ。
 今、自殺者数に大きく影響する要因が急浮上している。世界規模で深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大にほかならない。各種イベントの自粛やプロスポーツの開幕延期、国境をまたぐ往来、不要不急の外出禁止といった制約が日を追うごとに増している。
 人の行き来が止まれば金の動きも止まる。交通事業者、レストラン・飲食業、宿泊・観光業の大打撃は火を見るより明らかだ。サプライチェーン(部品の調達・供給網)の混乱や寸断に伴い、幅広い業種があおりを受けている。
 日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、景気の下支えを担ってきた非製造業の業況判断指数(DI)は大企業、中小企業ともに悪化し、下げ幅はリーマン・ショック後の09年3月以来、11年ぶりの大きさとなった。猛威を振るう新型コロナの終息が見通せず、6月短観でさらなる悪化を見込む企業、専門家は多い。
 既に、学生らの内定取り消しを含む採用の抑制、リストラや雇い止めといった負の連鎖が表面化している。不況を背景とした「経済・生活問題」を警戒する領域に入っていることは間違いない。自殺の原因、動機となり得る芽を摘む対策を、早急に講じなければならない。

2020年04月09日木曜日


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