新型コロナウイルス対策で家にこもると体を動かす機会が減ってしまう。高齢者の場合は特に身体機能の低下が懸念される。筋力を保つための簡単な運動や栄養を意識した食事について、東京都健康長寿医療センター研究所の北村明彦研究部長に聞いた。
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外出を控える生活が長引くと、高齢者は心身の活力を失って要介護手前の状態「フレイル(虚弱)」になってしまう恐れもある。体を動かさないと筋肉量が落ち、足腰が弱る。いざ外へ出ようとしてもふらついて転倒し、骨折などのけがをしやすくなる。
日常生活の中でも、階段の上り下りや椅子を使って立ったり座ったりする動きは筋力維持に効果がある。掃除や洗濯などの家事も合わせて1日2千~3千歩を確保したい。ラジオ体操なども活用できる。
栄養状態も悪くなりがちだ。買い物に出掛ける頻度が下がると、肉や魚、牛乳など体力維持に不可欠なたんぱく質の源になる生鮮食品を日常的に調達するのが難しくなる。
食品の宅配や配食サービスを利用してほしい。
食事は少量ずつでも多様な食品をとる。1日あたり肉、魚、卵、大豆製品、乳製品をそれぞれ片方の手のひらに載る程度の量を食べるのが目安だ。水分補給も大切で、1日コップ8~10杯分の水やお茶を飲むようにしてほしい。飲み込む力を鍛えるため、口を動かす運動を食事の前に行うことも勧めたい。
健康のため何より大切なのは疲れやストレスをためないことだ。生活リズムを崩さず、十分な睡眠時間をとる。室内でも1日20分程度は日光に当たるのが望ましい。
「高齢者は感染すると重症化しやすい」などと聞き、不安を強めている人も多いだろう。情報に振り回されず、電話やメールを使って家族や友人と交流し、自宅でできる趣味を楽しんでほしい。
東京都健康長寿医療センター研究所の「社会参加と地域保健研究チーム」が設けたホームページ(https://www.healthy-aging.tokyo/)では、自宅でできる簡単な運動の動画、毎日の食事のチェック表などを掲載している。
■友人と会うのが「月1回未満」要介護リスク
一般社団法人「日本老年学的評価研究機構」は4月、新型コロナウイルスの感染防止対策として外出を控え、人との接触を避ける生活が長期化した場合の高齢者の健康リスクについてリポートを発表した。
高齢者約9700人を3年間追跡した過去の調査では「歩行時間が1日30分未満」「外出頻度が少ない」「友人と会う頻度が月1回未満」といった人は要介護認定になりやすいとの結果が出ているという。
交通機関を使った外出や買い物、料理をしない人は、する人に比べて3年後に認知症を発症するリスクが約2倍になったとも指摘している。
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May 08, 2020
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新型コロナ:在宅生活でも1日2000歩 高齢者、栄養も意識を - 日本経済新聞
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