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コロナと生きる新しい生活様式 あらがわず良さ見いだそう - 佐賀新聞

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言は全面解除された。期間中の外出自粛、テレワークなどの日々は、案ずるより産むがやすしで、やってみれば結構できると実感した人もいるのではないか。

 政府は解除後も再流行防止のため「新しい生活様式」への転換を呼び掛けている。好むと好まざるとにかかわらず日本の暮らし、とりわけ社交や人間関係のありようは、これを機に、ある程度変わらざるを得ない。それが時代の流れなら、無理にあらがわず新たな良さを見いだしていきたい。

 「袖すり合うも多生の縁」で日本人は古来、人と近づき、つながることを大事にしてきた。だが新しい生活様式は「すれ違う時は距離をとる」「人との間はできるだけ2メートル空ける」と求める。社会経済活動は、人が物理的距離を取り合うことが前提になれば、相当な範囲で影響を受ける。

 米国映画の題名にあった「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」ような人いきれの場ほど、人と人が出会い、言葉を交わし、気心を知る機会を提供してきた。居酒屋、カラオケボックス、ライブハウス、会社によっては会議室もだ。だが緊急事態宣言が解除されても、新しい生活様式の日本では、こうした場に以前のようなにぎわいは当面戻るまい。

 少人数が間近で顔を突き合わせる社交の場もしかりだ。夜の街のクラブやバー、小料理屋などで一対一の信頼関係を築くことはビジネスでも常道だったのではないか。「料理に集中、おしゃべりは控えめに」とする新しい生活様式が定着すれば、このような場にも人は以前通りには戻らない可能性が高い。

 これらが緊急事態宣言中に、パソコンやスマートフォンを使ったオンライン飲み会、ウェブ会議に取って代わられた。さらには商売のお手本とされてきた現場主義、足で稼ぐ営業、対面販売などは避けるよう促され、新しい生活様式では「名刺交換はオンラインで」という状況になる。

 大きな集団となった人と家畜が近くで暮らすようになった太古の昔から天然痘、コレラなど動物由来の感染症と人類の闘いは宿命だと言ってもいい。その中で、中世の欧州でペストが流行し公共浴場が廃れていったように、人々の暮らし、街の様子も時代によって変わってきた。これからもなお変化は避けられまい。

 であれば「以前の方が良かった」という拒否反応は建設的ではない。今回収穫があったとすれば、会社の大部屋で共同作業せずともパソコンでの在宅勤務である程度代替可能と分かったことではないか。日立製作所や富士通などは在宅勤務を「新常態」として続ける。

 かつて通信の主役が郵便から電話に代わった後も、手紙の方が丁寧で好ましいと言われたが、それでも手紙が主流に戻ることはなかった。今や電話より電子メール、会員制交流サイト(SNS)となり、パソコンやスマホのテレビ電話普及の流れも止まらないだろう。

 政府は5月の大型連休の際、帰省をやめ「オンライン帰省」で我慢するよう呼び掛けた。お年寄りにも使いやすくなれば、毎日テレビ電話する方が盆と正月くらいのリアル帰省よりも、ふるさとの父母や祖父母はよほど喜ぶかもしれない。人間関係を取り持つ手段も時代により変わる。良しあしはその使い方で決まる。(共同通信・古口健二)

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May 29, 2020 at 03:17AM
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