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46歳、仕事も住まいも失った 「今回だけ」と生活保護 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞デジタル

 感染が広がれば経済活動を止めなければならず、活動を再開すれば第2波の懸念が高まる。コロナ危機を克服する手立ては、まだ見えない。今回の危機は日本経済に何をもたらしたのかを検証し、出口に向けた手がかりを探る。コロナ危機で露呈した様々な問題・課題を追いかける連載「コロナの時代」の「見えない出口」シリーズ第1回。

拡大する写真・図版コロナの時代 見えない出口/デザイン・加藤啓太郎

「見殺しか」 出口たどり着く前に決めた廃業

 新型コロナウイルスを受けた緊急事態宣言の全面解除を決めた5月25日、安倍晋三首相は記者会見で、「希望は見えてきた。出口は視野に入っている」と語った。しかし、出口にたどりつく前に事業の継続をあきらめ、仕事を失う現実に向き合う人たちがいる。

 6月20日、札幌市中心部の繁華街・ススキノ近くにある札幌第一ホテルは自主廃業し、68年の歴史に幕を閉じた。前日には全国で移動の自粛が解除され、前々日には首相が会見で「感染症によって失われた日常を、段階的に、確実に取り戻す」と力を込めた。

拡大する写真・図版閉館前の札幌第一ホテルの入り口には、6月20日で閉館することを知らせる看板が出ていた=2020年5月27日、札幌市中央区、長崎潤一郎撮影

 それでも、3代目社長の米沢佳晃さん(55)は、ホテルの土地と建物を売ってこれまでの借金を返し、従業員に退職金を払って会社をたたむことを選んだ。

 「いまなら従業員にも取引先にも迷惑をかけず、きれいにやめられますから」

 全国に先駆けて感染が広がった北海道では、2月28日に鈴木直道知事が独自の緊急事態を宣言。ずっと黒字基調だった老舗ホテルの経営は一気に暗転した。地域の会合にもよく使われ、70室ある客室の稼働率は、コロナ前は平均7割を超えていたが、宿泊と宴会のキャンセルが相次いだ。

 3月以降の売り上げは前年の10分の1近くに減った。金融機関から2月に借りた2千万円は、運転資金で3月中に消えた。月2千万円を超す赤字が続き、4月に追加で5千万円の融資を受けたが、これも2カ月もすれば底をつく。資金繰りに奔走するさなか、5月に申請した政府の中小企業向け持続化給付金は200万円。もはや焼け石に水だった。「とても『持続』できない。見殺しにされたのか」とさえ思った。

 感染症とのつきあいはいつまで…

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June 28, 2020 at 03:21AM
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