◆スーパーシティ構想
国は数年前から「スーパーシティ構想」を進めており、必要な国家戦略特区法改正が17日に閉会した通常国会で成立した。同構想により、(1)移動・支払い・行政・医療介護・防犯など生活全般にまたがる(2)2030年ごろに実現される未来社会での生活を加速実現する(3)住民参画・住民目線で未来社会の実現がなされるネットワークを最大限利用する-「まるごと未来都市」を作ろうという。実態は人工知能(AI)やビッグデータを使って企業活動を展開しやすくすることである。
個人情報を掘り出して、様々(さまざま)に結合することで、消費者や提供者、個人事業主・労働者をコマのように差配して大儲(もう)けするのが、近年のデジタルサービスのビジネスモデルである。プラットフォーマーは、土台や場を提供して、他者と他者をつなぎ合わせて上前を取り、負担や危険は個々の参加者に押し付けて儲ける。もちろん、昔からこうしたブローカー・ビジネス形態はあるが、それが情報技術の巨大革新によって、個別の「釣り(フィッシング)」ではなく、「底引き網」漁法のように大々的にできるようになった。
経済活性化には全く成功していない日本は、国も自治体も焦って、こうしたビジネスモデルに便乗しようと考えた。ところがこれまで個人の自由を守る仕組みが作られてきたので、個人情報の大量獲得は許されていない。そこで、自治体関係者を同意させ、地域住民まるごと個人情報を大量入手して自由に利活用できるようにして、ビジネスを展開しようというわけである。
「魚たち」(=我々(われわれ)住民の個人情報)に「餌」(=2030年の便利な生活)を与えて、一気に「底引き網」(=国家戦略特区指定)によって漁獲し、「生(い)け簀(す)」(=「スーパーシティ」)に入れる。「魚たち」は「生け簀」のなかで「餌」を与えられるので、その限りで楽しく泳ぐ。もちろん、いつでも「生け簀」から釣り上げられて、経営層や為政者の食膳に「活(い)け造り」(=儲け)となって供されるのであるが、「餌」の保証されない自由な大海で泳ぐより幸せなはずだ、というのが為政者や経済界の考えである。新型コロナ禍の「自粛明け」の今日この頃、明日は我(わ)が身と思って、生け簀のある店で魚を見ながら夕食のひと時を過ごすのも一興であろう。
◇ ◇
金井 利之(かない・としゆき)東京大教授 1967年生まれ。89年東京大法学部卒業、東京都立大助教授を経て現職。専門は自治体行政学。著書は「行政学概説」など。自治体学会理事長。10月に熊本市で自治体学会開催予定も、コロナ禍に直面中。
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June 21, 2020 at 09:00AM
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