Googleは6月5日、「Google トレンド」を活用し、新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態宣言解除後の変化について発表した。6月3日までにGoogle トレンドに反映されたデータを活用し、さまざまな角度から生活者の変化を考察している。
同社によれば、新型コロナウイルス感染症の影響により、2月以降には人々の生活に大きな変化があり、それは検索動向にも如実に表れた。そして、全国で緊急事態宣言が解除となった5月25日からは、これまでとは異なる兆候が表れると考えられるという。
実際、同社が提供する「COVID-19 コミュニティ モビリティ レポート」によると、5月29日段階での人々の移動量は少しずつ戻り始めているが、都心を中心に「第二波」という検索も増えており、まだまだ不安や心配は解消していない。また、6月2日には、同日夜に発令された「東京アラート」が検索クエリとして急上昇。同アラートがどのようなものか、どのような変化が起きるのかを知ろうとする動きが確認できた。
検索動向「第二波」
同社では、4月7日の7都府県への緊急事態宣言から5月25日の全国解除までの48日間だけでなく、その前後を含めて自粛生活を続けた生活者も多いと推測。今後、少しずつ以前の生活に戻るところもあるが、引き続き感染対策を意識する生活や以前と違った新しい社会、新しい意識や行動も生じてくるとしており、その変化の可能性を5月末までの検索動向から検証している。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大により、最も影響を受けたとであろう「旅行」では、低迷していた「国内旅行」の検索が、ゴールデンウィーク明けから大きく回復。5月後半には、一時的に2019年、2018年同時期の傾向を上回っていた。
検索動向「国内旅行」
関連検索には「国内旅行 補助」など、政府が発表した 「Go To キャンペーン」に関係するようなものも含まれる。2020年特有の検索といえる「国内旅行 いつから」は、ゴールデンウィーク明け以降に大きく上昇。実際は県外移動を避ける状況が続いているが、気分は前向きなものへと変わってきているようにも見受けられる。
検索動向「国内旅行 いつから」
生活者の外出に対する興味の現状は、旅行以外にもみられる。緊急事態宣言発令の手前から、前年と比較して検索が少なくなっていた「キャンプ」は、回復の兆しをみせている。また、毎年ゴールデンウィークに圧倒的ピークを迎える「動物園」についても、検索が前年より減少していたが、ここにきて前年同時期の比率に近づいているという。
娯楽施設や文化施設も、衛生管理および、密にならない工夫とともに、再開が進んでいる。そうした動きを受け、5月になり、美術館や博物館、水族館といった室内施設の検索動向も上向き始めてきた。しかし、ある程度の移動が必要で、不特定多数の人々が同じ空間に集まる場であるためか、以前の検索トレンドに戻るにはもう少し時間が必要と予測している。ただし、「博物館 予約」といった検索トレンドは上昇傾向にあるとのこと。
検索動向「博物館 予約」
一方で、同じ室内施設でも「カラオケ」の検索トレンドは上向きになっている。カラオケは、誰かと行く場合でも、部屋の中にいるのは自分が知っている人だけ、ということが要因になっていると予測する。また、近所にある場合も多く、移動に電車を使わなくていいことも好条件として捉えられている。
また、関連検索に「テレワーク」があり、仕事場としての需要もある。同様に「ジム」の検索も回復傾向にあり、外出自粛やテレワークで運動不足の中、再開の目処を確認している人たちが多いようだ。
新型コロナウイルスの影響で急激に上昇した検索ワードの現状については、「コロナウイルス」そのものの検索はピークだった4月と比較して大きく減少。今は2月初旬と同じ水準になっているという。同じく「除菌」や「免疫力」といったワードの検索も下降している。
検索動向「コロナウイルス」
同様に検索が下降していた「マスク」については、ここに来て別の動きをみせ始めているという。季節の変化に合わせて、マスクの質や着用の仕方を変えていくという意識の表れなのか、「マスク 夏」という関連検索が急上昇しているという。また、「マスク 肌荒れ」や「マスク ファンデーション」も多く検索されており、マスクを常につけるという新たな習慣によって出てくる悩みが顕在化している。
検索動向「マスク 夏」
生活者に強く関係がある「食」の分野では、「テイクアウト」や「持ち帰り」といった検索が、3月から5月のゴールデンウィークにかけて上昇。その後は、飲食店の店内営業が徐々に再開してきたことも後押し、現在の検索量はピーク時の半分程度になっているが、それでも、新型コロナウイルスが猛威をふるう以前よりも、高い水準であることには変わらないという。
「レシピ」の検索量は、5月末でも高い水準のままだ。これは、これまであまり料理をしてこなかった人が、外出自粛をきっかけに料理をするようになり、それを今も続けているという背景が考えられるとのこと。もともと家で料理をしていた人にとっても、1日3食の自炊を1カ月以上も続けた結果、レパートリーがなくなってきたり、これまでとは違うものが作りたくなったりして調べた、という行動が予想できる。
検索動向「レシピ」
5月に入ってからも「おしゃれ 家具」や「ソファ」などの検索は、引き続き高い水準を維持。緊急事態宣言によって半ば強制的に休日も家で過ごすようになったことから、自宅を快適にしたいというニーズが高まっている。その後も継続して高いことから、緊急事態宣言が解除されてからも、まだ自宅で過ごすことになるだろうと考える人が多いと予測する。
「免疫力」など、新型コロナウイルスの脅威に打ち勝つための健康志向はおさまったが、「運動不足」の検索は引き続き高い傾向にある。典型的なのは「ダイエット」。3月から高まり、今も高い水準のままだという。YouTube検索における「ヨガ」も、5月に入ってからピークを迎えているという。また、5月に入り、気候がよくなってきたこともあるのか、「縄跳び 痩せる跳び方」や「縄跳び カロリー」など、家の外でできるダイエットを意識した関連検索も増えているとのこと。
検索動向「ダイエット」
新しく上昇している検索から、人々の意識や行動が今後どう変わっていくのか、新しい価値観が普及していくのかをみてみると、変化が顕著に表れたのは「寄付」や「クラウドファンディング」だったという。これらは、4月末から上昇し、5月に入ってピークを迎えている。「クラウドファンディング」に関しては、新型コロナウイルスの影響で資金に困ったことから利用するために検索する人と、困っている人を支援したいという検索の両方が考えられるとしている。
検索動向「クラウドファンディング」
"生活" - Google ニュース
June 05, 2020 at 02:32PM
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