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豊肥線全線開通 観光や生活再建の弾みに | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 熊本地震で甚大な被害を受けたJR豊肥線が、4年4カ月ぶりに全線開通する。九州を横断する交通の大動脈の復旧が、阿蘇地域の観光や住民の生活再建の大きな弾みとなることを期待したい。

 不通となっていたのは、肥後大津(大津町)-阿蘇(阿蘇市)間の27・3キロ。2016年4月の熊本地震で発生した阿蘇外輪山の大規模斜面崩落や、その後の豪雨による土砂流入や落石などにより、約50カ所に被害を受けた。

 JR九州は17年4月に復旧工事に着手。約10キロでレールを敷き直したほか、電気系統の整備などを進め、ほぼ元の線路に沿って復旧した。

 立野(南阿蘇村)-赤水(同市)間の傾斜地をジグザグに進む名物の「スイッチバック」も復活した。最大の難工事で、のり面を大規模にコンクリートで補強して安全を確保したという。

 復旧費は約50億円。改正鉄道軌道整備法の適用対象となり、国と県が25%ずつ拠出。残り50%を同社が負担した。

 豊肥線は、阿蘇地域から大津町や熊本市などの高校に通う生徒たちを支える生活路線だ。全線開通によって、午前5時~午後10時台に上下計30本の普通列車が運行。地震前と同じ態勢がようやく戻る。代替バスでは1時間以上かかっていた肥後大津-阿蘇間の所要時間も1時間を切る。

 代替バスの運行時刻は平日の学校の日課に合わせた設定だったため、授業が午前中で終わる日や、土日の部活動に通うには不便だったという。バス通学の生徒や、送迎を余儀なくされていた保護者の負担が減ることは喜ばしい。医療機関に通う高齢者にとっても大きな助けとなろう。

 豊肥線の不通は、深刻な観光客離れももたらした。県によると、18年の阿蘇地域の延べ宿泊者数は約154万7千人と、熊本地震前の15年の約196万人から激減。さらに今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大も追い打ちを掛けている。観光客を呼び込む重要な交通インフラである鉄道の復旧を、反転攻勢のきっかけとしたい。

 同社は、改正鉄道軌道整備法の適用に際し、安定的な収支改善策を示す「長期運行計画」を国に提出した。県と県内の沿線8市町村の意見を踏まえ、訪日外国人に向けた阿蘇の魅力発信や、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」のキャラクター像を生かした誘客などに取り組む方針を示している。

 運転席を2階に設けて前面展望を楽しめる「あそぼーい!」や、「九州横断特急」の運転にも力を入れる。熊本(熊本市)-宮地(阿蘇市)間では新たな特急「あそ」も走らせる。

 阿蘇地域では、国道57号も10月に復旧する見通しで、熊本都市圏との交通アクセスが大きく回復する。それらの効果を最大限生かすためにも、コロナ禍後も見据えたにぎわい復活の青写真をしっかりと描いておきたい。

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August 08, 2020 at 05:11AM
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