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治療や生活 無料相談「人権センター」 精神医療 苦しまぬよう 横浜・藤井さん、自身の経験から設立 - 東京新聞

勤務先の福祉サービス事務所で利用者と話す藤井さん=横浜市磯子区で

勤務先の福祉サービス事務所で利用者と話す藤井さん=横浜市磯子区で

 約三十年間で九回、精神科病院への入退院を繰り返した横浜市磯子区の藤井哲也さん(61)が、障害者や支援者らの相談に応じる「神奈川精神医療人権センター」(KP)を立ち上げた。治療を経験してきた当事者ならではの視点で精神障害者の人権を守ろうと、クラウドファンディングで活動資金を集めて奮闘している。 (杉戸祐子)

 初めて精神科病院に入院したのは高校生の時。中学時代から不眠やイライラ感で不登校になり自室に引きこもっていた。二年生の夏のある夜、窓を開けて大声を出したら、母親に「お母さんもおまえもこの家にいられなくなるよ」とたしなめられ、殴ってしまった。「自分の心配より世間体を優先したのが許せなかった」と振り返る。

 うつ病と診断されて三カ月ほど入院。その後も感情の起伏の激しさから家庭内暴力を繰り返し、精神科病院への入退院を重ねた。入院生活は通算五年以上になる。現在は症状が落ち着いて安定した寛解の状態だ。

 「昼か夜かも分からなくなる。あの怖い感覚は忘れられない」と話すのは、病状が悪くて暴れ、保護室で隔離された時のこと。施錠された室内に窓はない。自傷防止のため腕時計は着けられず、時間の感覚が失われたという。

 藤井さんが精神障害者の人権について考えるようになったのは、主治医の勧めで入院中に建築資材を作る仕事に出たのがきっかけ。「薬を減らし、働いてお金を稼ぐ。気持ちが救われた」。治療の一環として、だるさなどの副作用が強くて飲みたくない薬を強制的に飲まされた経験もある中で「当事者には治療や入院生活のあり方について、自己決定をする権利があると思うようになった」と話す。

 二〇〇五年に最後の入院をした後、当事者団体「横浜ピアスタッフ協会」(YPS)に、スタッフとして関わるようになった。さらに今年五月、「精神医療を受ける当事者が入院先や地域で苦しまないように」と、人権に焦点を当てたKPを発足させた。治療内容や入院生活、退院後の地域での暮らしなどの相談を無料で受け付けている。

 既に患者の知人や子どもの家庭内暴力に悩む家族らから十件ほどの相談が寄せられ、「手応えを感じている」という。KPの活動を通じ、将来的には障害者差別を禁止する市条例の制定を目指していくという。

 KPでの相談は月〜金曜午後一〜四時、電080(7295)8236=へ。手紙やメールでも受け付ける。詳細はホームページ(センター名で検索)で。

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September 02, 2020 at 05:12AM
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