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社説 災害関連死 避難後の生活にも支えを - 信濃毎日新聞

 昨年10月の台風19号災害で被災した後に亡くなり、県内の自治体から「災害関連死」と認定された人が15人に上っている。

 避難後の生活の変化に伴うストレスや過労など、間接的な原因によって亡くなった被災者である。災害に伴う直接死は5人。その3倍に達した。

 目立つのは高齢者だ。持病の治療を十分に受けられなくなったり、入退院や転院を繰り返し体力が落ちたりしたケースが多い。

 千曲川の堤防決壊で広い範囲が浸水した長野市が12人を占める。このうち少なくとも4人が、被災時に施設に入所していた。

 19号災害では、特別養護老人ホームなど自力避難が困難な高齢者を抱える複数の施設が浸水。市によると、救出された計264人が病院や他の施設に移った。

 災害関連死が相次ぐ状況から見えてきたのは、避難した後のきめ細かい支援の必要性だ。

 6月に関連死と認定された80代女性の場合、1階が浸水した施設から救助され、市内の病院に約2週間入院した後、別の施設に入所した。次第に元気がなくなり、被災の1カ月後に亡くなった。

 慣れ親しんだ施設からの移動は心身の負担が大きい。移動先の施設にケアに関する情報を伝えるなど、避難の後も元の施設にできるだけ近い環境で過ごせる態勢づくりが求められている。

 近年の水害多発で、高齢者施設の浸水被害は頻発している。2016年に岩手県岩泉町のグループホームで入居者9人が死亡したのを機に国は水防法を改正した。特養などの施設に、避難先や移送手段を定めた「避難確保計画」を作成するよう義務付けた。

 今年1月までに策定したのは全国で45%、長野市では8月末の時点で34%にとどまる。計画の作成だけに手いっぱいで、避難後の入所者の生活環境にまで検討が及んでいない現状も浮かぶ。

 災害発生時に命を守るだけでなく、その後の生活も視野に入れた避難にすることが重要だ。計画づくりに合わせ、施設同士の連携も考えていきたい。自治体は支援に力を入れてほしい。

 関連死の認定制度は1995年の阪神大震災を機に始まった。認定されると遺族は弔慰金を受け取ることができる。だが制度の運用体制や周知は不十分だ。

 認定が進まないと、被災者が置かれた困難な状況を社会で共有することもできない。市町村には、認定の審査体制を整えて結果の公表に努める責任がある。

(11月6日)

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