国際通貨基金(IMF)は今年と来年の世界経済成長率見通しを下方修正した。世界経済が近くリセッション(景気後退)入りの瀬戸際に立たされる恐れがあると警告した。
26日公表の世界経済見通し(WEO)によると、今年の世界成長率は3.2%に減速する見込み。IMFは4月時点では3.6%、1月時点は4.4%と予測していた。
Weaker Growth
IMF cuts global 2022, 2023 GDP growth outlook for third straight time
Source: IMF World Economic Outlook update
23年については、中央銀行がインフレ抑制のため実施した一連の利上げによる「痛手」が予想されるとし、世界成長率が2.9%に減速するとの見通しを示した。
IMFはそれでもプラス成長を見込むが、物価上昇の加速で所得や貯蓄、利益が目減りしており、主要国で広がるリセッション入り懸念の沈静化につながりそうにない。
IMFチーフエコノミストのピエールオリビエ・グランシャ氏は、「見通しは4月以降、著しく暗くなった。世界は近く、世界的リセッションの瀬戸際に立たされるかもしれない。前回の不況からわずか2年しか経過していない」とブログ投稿でコメントした。
消費者物価が予想より速いペースで上昇を続ける中、IMFは食品・エネルギー価格の上昇や長引く需給不均衡を踏まえ、物価高が今年さらに加速すると予想。今年の世界インフレ率を8.3%と、1996年以来の高水準を予測し、4月時点の7.4%予想から上方修正した。
Inflation Evolution
IMF says world consumer prices have risen faster than expected since 2021
Source: International Monetary Fund
IMFは4月のWEOでウクライナでの戦争の悪化やロシア制裁のエスカレート、中国での予想より急激な景気減速、新型コロナウイルス感染の再燃、中銀に利上げを迫るインフレの波などのリスクに言及したが、最新報告ではこうしたリスクの顕在化を指摘。修正後の見通しへのリスクは「圧倒的に下振れ方向だ」とし、欧州向けロシア産ガス輸入の「突然の停止」やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレートなどの可能性を懸念要因に挙げた。
Inflation Outlook
IMF sees consumer-price growth in advanced economies accelerating
Source: International Monetary Fund
成長率見通しの下方修正は広範な地域に及んだが、米国の予測を最も大幅に修正。年前半の低調な伸びや家計の購買力低下、金融引き締めを理由に今年の米成長率予想を4月時点から1.4ポイント引き下げ2.3%とした。
また、23年10-12月(第4四半期)の成長率を前年同期比0.6%と予想し、「リセッション回避が一段と困難になる」と予想した。
Slower Growth
IMF reduces many economic-growth forecasts for 2022 relative to April
Source: International Monetary Fund
中国の今年の成長率予想は1.1ポイント引き下げ3.3%とした。不動産不況の深刻化に加え、新型コロナ感染抑制策に伴う移動制限が経済活動を妨げ、サプライチェーンに世界的影響が及んでいると分析した。
IMFはさらに、政策当局者の最優先事項は金融引き締めを通じたインフレ抑制だとし、それによる「実際の経済へのコストは避けられないが、先送りすれば増幅させるだけだ」と論じた。
原題: IMF Cuts World GDP Outlook a Third Time as Inflation, Rates Jump(抜粋)
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