ほんの数カ月前、中国人民元はウクライナでの戦争に伴う混乱やインフレ高進から投資家を保護し、新興国市場の独自の安全資産として支配的な地位を占めていた。しかし、それが今や脅威に変わりつつある。
中国の経済成長が失速する中、人民元は2年ぶり安値まで下落している上に、一段安が見込まれている。これを受け、ゴールドマン・サックス・グループやスカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケン(SEB)などは、中国の近隣地域だけでなく、遠く離れたアフリカや中南米にも衝撃波が及び、元安がそれらの地域の輸出品の魅力を損ね、競争的な通貨切り下げを招くと予想している。
SEBの新興国市場担当チーフストラテジスト、ペール・ハマールンド氏は「人民元がさらに下落する見込みの中、他の新興国・地域の通貨も下落圧力に直面するだろう」と指摘し、「影響は中国と輸出で直接競合する国が最も大きくなる」との見通しを示した。

人民元は8月に月間ベースで6カ月連続下落し、米国主導の貿易戦争のまっただ中にあった2018年10月以来、最長の値下がり局面となった。年内にさらに下落し、心理的な節目である1ドル=7元を超える元安になる見通しだと、ソシエテ・ジェネラルや野村ホールディングス、クレディ・アグリコルCIBなどが指摘している。
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Emerging markets increasingly rely on China for trade
Source: Bloomberg
ゴールドマンやソシエテ・ジェネラルは、人民元安によって韓国ウォン、台湾ドル、タイ・バーツ、マレーシア・リンギット、南アフリカ・ランドも押し下げられる可能性があると指摘。SEBは、メキシコ・ペソ、ハンガリー・フォリント、ルーマニア・レイ、トルコ・リラが最も脆弱(ぜいじゃく)だとみている。
ソシエテ・ジェネラルの調査責任者、フェニックス・カレン氏は「中国と他の新興国・地域との貿易・金融面での関係は、過去10年間に著しく強まった。こうした深く根付いた関係を受け、世界の新興国通貨の中国からのデカップリング(切り離し)は一段と困難な状況となっている」と指摘した。
中国人民銀行(中央銀行)は5日、人民元の中心レートを9営業日連続で予想より元高方向に設定。元安に歯止めをかけようとしているものの、強いドルがこうした防衛戦術の効力を弱めている。
原題: China’s Currency Struggles Spell Trouble Across Emerging Markets(抜粋)
(最終段落に人民元の中心レートを追加して更新します)
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