物価高の中、家計をさらに圧迫することになる運賃値上げですが、JR四国はどのように説明しているのでしょうか。
値上げの理由として、鉄道事業の厳しい状況を挙げています。JR四国の鉄道事業の収入は、1996年度の約370億円から、昨年度は新型コロナの影響もあって約177億円まで落ち込んでいます。鉄道事業を含めた全体の営業損益は、昨年度、過去3番目に多い約184億円の赤字となっています。JR四国は、値上げによって年間約18億円の増収を見込んでいますが、抜本的な経営改善には程遠い状況です。
100円の収入を得るために必要な経費を表す「営業係数」は、すべての路線で経費が収入を大幅に上回っています。特に、愛媛と高知を結ぶ「予土線」は、100円を稼ぐのに1761円の経費がかかり、すべての線区の中で最も採算が悪くなっています。また、予讃線の海回りも100円稼ぐのに626円の経費がかかり、厳しい状況です。
JR四国の西牧社長は、新たに設けられた国の制度を活用して、赤字路線のあり方について地元の自治体と議論したいという意向を示しています。
JR四国 西牧世博社長
「鉄道を残すんだったら、私どもの単独じゃできませんよっていう線区が多分出ると思う。そういう議論のもとになるのは、要するに、維持するためには費用をだれがどういう形で負担するかということになろうかと思う」
先日の記者会見で西牧社長は、愛媛県に何を求めるのかという記者からの質問に対し「検討中」と述べるに留まりました。
一方、愛媛県の中村時広知事は「経営状況などをすべてオープンにして、まだできることがないのか探るのが先ではないか」と指摘。まずは経営に関する様々な情報を明らかにする必要があるという認識を示しています。
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