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三菱重工の24年3月期、純利益46%増 ガス火力伸びる - 日本経済新聞

三菱重工業は10日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比46%増の1900億円になる見通しだと発表した。10年ぶりに過去最高を更新し、事前のアナリスト予想の平均(1583億円)も上回る。ガスを燃料とする高効率な発電用タービンが好調なほか、国産ジェット旅客機事業の撤退に伴い関連費用の計上がなくなる。

24年3月期の年間配当予想は前期比30円増の160円とした。同日午後1時半の発表後、株価は急騰し一時、前日終値比7%高と年初来高値を付けた。終値は6%高の5508円だった。

売上高にあたる売上収益は2%増の4兆3000億円、事業利益は55%増の3000億円の見通し。市場が事前に注目していた事業利益率は7%と、前期から2ポイント改善する。3カ年の中期経営計画の最終年度となる今期の目標数値だった。

業績拡大をけん引するのはガス火力の発電プラントだ。ガスタービンの排熱を使って蒸気タービンも回す「GTCC」と呼ぶプラントが好調に推移する。ガスタービンは二酸化炭素の回収装置を設置することや水素向けへの転換が将来可能になる。欧州連合(EU)が環境面で持続可能な事業と定めた「タクソノミー」で現実的な解決策として見直されている。

発電プラントなどエナジー事業の事業利益は前期比76%増の1500億円を見込む。脱炭素の流れで石炭火力が落ち込む一方、ガス火力の新設や修繕などが伸びる。前期に利益を圧迫した石炭火力の欧州拠点の構造改革や海外工事案件の一時的な費用が減ることも寄与する。

フォークリフトや冷熱機器は原材料価格が高止まるものの、値上げで吸収する。24年3月期の外国為替相場は1ドル=130円と前期から約5円の円高を想定する。事業利益全体で110億円の減益要因になるものの、値上げなど採算改善が上回り、全体として増益を確保する。

開発に約1兆円を投じた国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」からの撤退も収益の安定化につながる。前期まで業績の重荷になっていた関連費用の計上は今期はゼロになる。モルガン・スタンレーMUFG証券の井原芳直氏は「大規模事業での減損リスクが少ない安心感はある」と指摘する。

政府の防衛費増額で注目される「航空・防衛・宇宙事業」の事業利益は前期比横ばいの400億円の見通し。今期の防衛事業の受注高は約8500億円と前期から約3000億円増える。4月に長射程ミサイルの開発などで政府と契約を結んだが、収益への貢献は主に来期以降となりそうだ。

同日発表した23年3月期の連結決算は、売上収益が前の期比9%増の4兆2027億円、純利益が15%増の1304億円だった。新型コロナウイルス禍からの航空機需要の回復でエンジン向け部品などが好調だった。

外部環境の好転に頼らず成長事業をどう伸ばすかが今後の課題となる。自動物流やデータセンターの省エネなど社会インフラのスマート化領域を成長領域と定めるが、成長に向けた具体策は見えにくい。泉沢清次社長も同日の記者会見で「検討しているが実現性はまだ道半ば」と述べた。

三菱重工の株価は22年前半に急騰したがその後は5000円前後で足踏みが続く。株価上昇は防衛予算の増額議論や原子力の積極活用など政府の方針転換を受けて将来の収益拡大への期待が高まったことが大きい。JPモルガン証券の佐野友彦氏は「期待先行で買われた昨年と違い、利益成長にどうつなげるか問われる年になる」と話す。

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