【ウィーン=久門武史】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は4日、ウィーンで閣僚級会合を開き原油生産計画を協議する。原油相場は世界景気の減速懸念から下落基調で、下支えのため追加減産に踏み込むかが焦点となる。
サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)などOPECの一部は5月、合計で世界需要の1%強に当たる日量116万バレルの自主減産を始めたばかり。このため今回会合は現状を維持するとの見方が広がったが、追加減産の可能性もにわかに浮上した。ロイター通信は2日、最大で100万バレルの追加減産が検討課題になっているとするOPECプラス関係者の話を伝えた。
国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル76ドル台と、世界景気減速への懸念から4月の高値より1割以上安い。サウジなどが自主減産を4月初めに表明した直後に急騰したが、その押し上げ効果が短期間で帳消しになった。
閣僚級会合に先立つ5月23日、OPECを主導するサウジのアブドルアジズ・エネルギー相は「4月に(減産発表で)痛い思いをしただろう」と述べ、原油価格の下落で利益を得る「空売り」を仕掛ける投機筋に警告していた。ただイラクやUAEなどは5月に相次いで追加減産はないとの見通しを表明。始めたばかりの自主減産の効果を見極めるとの観測の根拠になっていた。
国際通貨基金(IMF)の推計では、今年のサウジの財政収支を均衡させる原油価格は1バレル80.9ドル、イラクは75.8ドル。UAEのように50ドル台の国もあるが、下落基調が長引くのはどの産油国にも望ましくない。
原油需要の回復が見通しにくくなっている事情もある。5月には最大の原油消費国、米国の政府債務上限問題が難航し、金融市場が一時動揺した。第2位の消費国、中国は5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が48.8と2カ月連続で好調・不調の境目である50を割り込んだ。中国経済の回復が鈍いとの見方が広がった。
半面、国際エネルギー機関(IEA)は5月の月報で、OPECプラスが現行の減産を続ける場合でも世界の原油需給は4〜6月に供給不足に転じ、年末にかけて不足が拡大すると予測している。在庫水準が低下すれば、価格が上がりやすくなる。こうしたなかでさらに追加減産を決めれば米国など消費国が反発する可能性がある。
OPECプラスはこれまでも相場下支えのために供給を絞っており、2022年10月に200万バレルの協調減産を決めた。これとは別にウクライナ侵攻で西側の制裁を受けるロシアが23年2月に50万バレルの減産を表明していた。サウジなどの自主減産116万バレルと合わせると減産幅は366万バレルと、世界需要の4%弱に当たる。
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