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「生活を死守する」~ロックダウン下のパリノート(1) - 読売新聞

 パリは3月17日の正午からロックダウンが始まり、現在5週間目に突入しています。

 ぼくは16歳の息子と二人暮らしですが、学校が休校になり、レストランやカフェなども閉鎖され、外出が制限されたこの生活が始まった時、一番、心配したのが息子のことでした。

辻仁成のパリノート

 パリ在住の作家・ミュージシャン辻仁成さんが、新型コロナウイルスで都市封鎖が続くパリでの子育てを伝えます。

 辻 仁成(Tsuji Hitonari)

 1959年、東京生まれ、パリ在住。作家。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞。97年「海峡の光」で芥川賞、99年「白仏」のフランス語翻訳版「Le Bouddha blanc」で仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。長男が小学5年生の頃から、シングルファーザーとしてパリで子育てを行う。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Webマガジン「Design Stories」主宰。

 来年からバカロレア(高校卒業資格試験)がはじまります。今年のバカロレアは新型コロナのせいで中止になり、一学期と二学期の成績で評価が決定するようです。このように、これまで当たり前のようにあった日常が一旦ストップしてしまいました。

 学校に行かなくなった息子は家でリモート教育を受けています。学校があった時と変わらないスケジュールで机に向かい、先生やクラスメイトとは専用のネットシステムを介して繋がり、勉強を続けています。毎日、膨大な宿題が出るようで、大人のテレワーク並みに忙しい日々を送っていますが、このような非常事態状況をどう受け止めているのか、その精神状態が当初掴めず心配でした。

 そこで様々な日課を設けました。父子間の絆を強くし、余計な不安を払うのが狙いです。まず、本人の希望もあり、毎日、一緒に料理をすることからスタートしました。片付けも含まれます。それから、毎日、一緒に走るようになりました。この共同作業を利用して、息子の心理状態を探ることも出来ました。不安定な未来、いつ終わるのか分からないロックダウン、もちろん、新型ウイルスという人類の新しい脅威などについて、隠し事をせず、きちんと話し合う時間を設けたのです。

 煮込み料理の合間に、並んで走っている間に、もやもやを吐き出させました。時には父親の苦悩なども隠さず正直に語り、一緒に解決策を探すことで子供に主体性を持たせ、自立心の育成に繋げました。そうすることでぼくらは非常事態の日常の中にあらたな「生活」のリズムを取り戻すことが出来たのです。

 日常は一時的に失われましたが、生活はなんとか死守することが出来ています。生活のリズムさえ崩さなければ、必ず日常は戻ってきます。不便ですが、今は家にいて、規則正しく生きることが大事だね、とぼくらはお互いを励まし合って生きています。

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April 23, 2020 at 09:02AM
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