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元の生活願い 「共感の鐘」一斉に - 信濃毎日新聞

 善光寺(長野市)と縁がある全国30の寺で10日、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう医療従事者らへの感謝や早期終息への願いを込めた「共感の鐘」が鳴らされた。善光寺が31日まで毎週日曜午後5時に一斉に鐘を突くことを提案し、県内では9の寺が応じた。「学校の友達に会いたい」「元通りになりますように」。初回の10日、音色を聞いた人の胸にさまざまな思いが浮かんだ。

 飯田市の元善光寺では、雨が滴る静かな境内に本多秀道住職(45)が唱える般若心経と鐘の音が響いた。普段突くのは年末年始のみ。門前でまんじゅう店を営む赤羽目文宏さん(65)は、「温かみのある柔らかな音色。終息への願いが届くといい」と店内で鐘の音に耳を澄ませた。

 松本市の善昌寺では大沢祐仁住職(70)が本堂で鐘を鳴らし、般若心経を一心に唱えた。新型コロナの感染者、治療に当たる医療従事者、休業を強いられる事業者…。大沢さんは「どこに目を向けても気の毒だ」と一刻も早い終息を祈った。

 小諸市の大雄寺。荒井道伸住職(39)が鐘を1分おきに5回突き、長男で同市坂の上小6年の道尊君(11)も数回鳴らした。市内の小学校は、登校児童数を絞った週2回程度の分散登校。道尊君は「友達の半分くらいしか会えない。早くコロナが終わって」と願った。

 長野市の往生寺では、水野善文住職(61)が鐘を5回突き、そのたびに合掌した。「どうしているかな」。近くのリンゴ農家増田元(げん)さん(87)は、昨年の台風19号で被災した農家仲間を思い浮かべた。外出自粛でなかなか会えないが、「こんなときこそ想像力を働かせ、仲間や皆を思いやりたい」と語った。

 往生寺では、約2キロ離れた善光寺の鐘の音も聞こえた。善光寺の若麻績享則寺務総長は「日々の生活を良い方向に進める励みになればいい」。善光寺で鐘を突く様子を撮影した長野市の足立豊さん(71)は「会員制交流サイト(SNS)に投稿し、願いや祈りを大勢に届けたい」と話した。

(5月11日)

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May 11, 2020 at 06:53AM
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