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納豆を自作して「無限納豆」生活にチャレンジしてみた - メシ通

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「納豆はおひとりさま1パックまでとなっております」

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令されていた、2020年4月某日のこと。

ステイホーム用の買い出しで、近所のスーパーへ行った都内在住の筆者は、あることに大変うろたえていました。

買い占めはよくないので常識的な買物量を心掛けつつ、必要な食材をカゴに入れレジに出すと、店員さんにこう言われたのです。

「すみません。納豆はおひとりさま1パックまでとなっております」

え? 1パックまで!?

聞けば、納豆が品薄になっており、販売個数制限をしているのだとか。

なんでも「免疫力をアップさせる食品」としてテレビで紹介されたらしく、その影響かもしれないとのこと。

トイレットペーパーやマスクに続いて、なんと納豆まで!

普段からほぼ毎日のように納豆を食べている納豆大好きな筆者が、そのときカゴに入れていたのは、3個入りパックを4銘柄、合計4パックでした。

呆然として固まっていると、店員さんはすまなそうに、こう促します。

「あの、1個選んでいただけますか?」

はっと我に返って、某社国産大豆使用大粒納豆1パックを選び、あとの3つはあきらめ、精算を済ませたのでした。

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あとから知りましたが、この時期は都内各地のスーパーで納豆の販売個数制限が行われていたようです。

時期的に頻繁にスーパーに通うわけにもいきませんし、もしかして、大好きな納豆ご飯を、今後は控える必要があるのかも……。

食べられないと思うと、かえって無性に食べたくなる!

そんなとき、突然ある言葉が脳内に響きわたりました。

「納豆が買えないなら、自分で作ればいいじゃない♪」

マリー・納豆ワネットの気分で、とっさに追加購入したのは、ビニールパック入りの「水煮大豆」(下写真)と「蒸し大豆」(後ほど使用)。

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そして、缶入りの「水煮大豆」でした。

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自宅で簡単に納豆を自作するには

苦境に立たされた筆者が試みたのは、納豆の自作だったのです。

すなわち、大豆を発酵させて、納豆を作る──。

発酵DIYも大好きですし、この状況で、これをやらない手はありません。

この原稿を書いている2020年初夏の時点では、すでに納豆の品薄状態も解消し、スーパーではふつうに納豆が買えるようになりましたが、稀に見る「納豆緊急事態」の記録として以下に書き記しておきます。

まずは状況が状況ゆえ、なるべく簡単に納豆を作りたい。

そこで、自家製納豆のスタートラインともいえる「乾燥大豆を水で戻して煮る」という、ちょっと面倒な工程は思い切って省きます。

材料は、とっさにスーパーで買い足した市販の水煮大豆や蒸し大豆です。

また、自分と同じ納豆飢餓状態に陥ったかもしれない多くの納豆好きたちの参考になるよう、ヨーグルトメーカーなどの専用器具は使用せず、なるべく誰の家にもありそうなモノで大豆を発酵させてみました。

クール宅配便で使われていた発泡スチロールのクーラーボックスが、ちょうど手元にあったので、これを使ってみます。

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納豆の発酵では、ボックス内を保温する必要がありますが、それには余っていた使い捨てカイロ(強力タイプ)を使ってみることにしました。 

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熱湯(80℃程度)を入れたホットドリンク用ペットボトルなんかも、結構使えそうです。

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問題は、大豆を発酵させるための「発酵スターター」

要するに「納豆菌」です。

これはスーパーで1パックだけゲットできた貴重な市販納豆を使うことに。

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ちなみに、自家製納豆専用の発酵スターターとして、粉末状に精製された納豆菌も販売されています。

もちろん、これを使ってもOKですが「手軽に、簡単に」という今回の実験コンセプトからは外れるので、また別の機会に。

【ちょい余談】マニアは葉でも作る

余談ですが、ディープな発酵マニアは、ミントの葉、シソの葉、その他各種ハーブなど、植物の葉を発酵スターターにして納豆を作ったりしています。

ちょっと専門的な話をすると、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)は枯草菌(Bacillus subtilis)に分類される細菌の一種で、どうやら多くの植物の葉に、この枯草菌が棲んでいるらしいのです。

昔ながらの納豆は「藁づと」に包まれていますが、藁にも枯草菌の類がいるのでしょう。

さらに脱線しますが、アジア各地でも納豆は食べられており、ペースト状のものや、ペーストを円盤状やレンガ状に加工して乾燥させたものも見られますが、日本と同じ生の粒納豆も、もちろんあります。

筆者がタイのチェンマイで出会ったタイ納豆「トゥアナオ」は、大きな葉に包まれていました。

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葉の包みをあけると、こんな感じ。

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日本の納豆とかなり近いテイストで、しっかり粘りもあり、試しに日本米のご飯にかけて食べたら、結構おいしかったです。

とはいえ、葉っぱを発酵スターターに使うのは、ちょっと上級者向けすぎるので、今回は知識だけにとどめておきましょう。

センサー付き温度計が必須

話をもとに戻すと、その他に用意すべきものは、底が広めの容器と、フキン輪ゴムなど。

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あと、どうしても必要なのが温度を計る機器。そこで今回は冷蔵庫内の温度などを測れる、コードの先に温度センサーがついたタイプの温度計を用意。以前、ネット通販を利用し千数百円で買ったものです。

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発酵食品の手作りすべてに共通しますが、雑菌が入って腐敗などを起こさぬよう、使用する道具類は清潔に。器などは熱湯消毒するかアルコールで殺菌しておきましょう。くれぐれも衛生面では慎重を期してください。

納豆の発酵では、雑菌が入るとアンモニア臭のもとになるともいわれます。

雑菌除去は、おいしい納豆を作るうえでも気を付けるべきポイント。

もちろん、手はアルコールなどでしっかり除菌して、準備が整ったら、さっそく本題に入ります!

まずは納豆菌を大豆に植え付ける

材料は、水煮大豆1パックぶん125g。

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これを、水1リットルほどを沸かした鍋に入れて、少し煮ます。

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水煮大豆をさらに煮るのは、もうちょっと柔らかくしたいのと、発酵に適した高い温度にしたいためです。

大豆の固さは指で簡単に潰れるくらいがベスト。

2、3分煮たら、ざるにあけて水を切ります。

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ボウルに移しておきます。

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つぎに、発酵スターターとなる納豆を用意します。

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市販納豆1個ぶん40gの約半分、20gほどを器に取ります。

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20gの納豆にお湯30ccを加え、やさしくかき混ぜます。納豆の粘りをお湯に溶かしてください。お湯は、大豆を煮るのに使っていたのを流用しちゃってOK

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ボウルにあけた大豆に、納豆20gとお湯30㏄混ぜた発酵スターターの全量を加えます。

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よく混ぜます。

納豆の粘りを大豆にまんべんなくまとわりつかせるようなイメージで。

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発酵用容器にうつします。

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フタはせず、清潔なフキンなどをかぶせて輪ゴムでとめます。

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なぜ、こうするかというと、納豆菌を窒息させないため。

納豆菌は酸素呼吸をしながら発酵を行う「好気性菌」なので、きっちりフタをしてしまうと発酵が進まず、うまく納豆ができません。

ちなみに、酒造りに欠かせない酵母は、酸素がない「嫌気的環境」で糖分をアルコールに分解します。酸素があるかないかは、微生物と発酵にとって重要な条件なのです。

使い捨てカイロで発酵スタート

つぎに、クーラーボックスの底に、袋から出したての使い捨てカイロを置きます。小さめのカイロだったので、2つ使ってみました。

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その上にフキンを四つ折りにして敷きます。

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そこに、納豆を仕込んだ容器を置きましょう。

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保温のため、さらにタオルを上にかぶせてもいいかもしれません。

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クーラーボックスのフタを閉めてしまうと、納豆に空気がまわらなくなるので、ずらして軽くのせる程度にしておきます。

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先ほど紹介したタイプの温度計があれば、温度センサーを容器の底部に接触させて、温度をモニタリングします。

納豆の発酵には40℃前後がベストといわれています。

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もし、温度が低ければカイロを足す、高ければカイロと容器の間にタオルなどを入れてみるなど、ジャストな温度になるよう調整します。

温度が調整できたら、24時間発酵させます。

40℃前後に調整したあと、そのまま24時間ずっと、ほとんど温度にブレがない状態で保温し続けることができました。

驚きの実験結果。これはまぎもれなく納豆だ!

さて、大豆の様子を見てみましょう。

発酵は、うまくいっているでしょうか?

ドキドキする一瞬です。

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お~!

大豆のまわりを白っぽいものが覆っていますが、これが納豆菌の菌糸です。

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イイ感じに発酵しています!!

こんどは容器を冷蔵庫に入れ、さらに1日~2日熟成させます。

冷蔵庫での熟成を経たものが、これ。

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豆の表面がテラテラと光っていますね。

かき混ぜて、すくい上げてみると、ちゃんと糸も引いて、かなりバッチリにできあがりました。

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これはまぎれもなく納豆!

さっそく納豆ご飯で、食べてみます。

せっかくなので、ご飯が見えないくらい、思い切ってドドンとのせて食べてみました。

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かなり上出来。

市販の納豆より、豆がふっくらしている気がします。かみしめたときの食感と旨味に高級感があり、おいしい!

もちろん、納豆独特のにおいと粘りもバッチリ。

ネギをちらし、卵黄をのせて、食べる前に醤油をまわしかけ、よく混ぜて、一瞬で完食してしまいました。

納豆ご飯に加える調味料などは、そのときの気分によっていろいろで、醤油の代わりに、だし醤油を使ったり、塩麴と混ぜてみたり。あと、からしを入れたり、入れなかったり。ごまをかけてもいいし、ごま油を混ぜてもおいしいですよね。

ひとまず大成功です!!

市販の納豆を使わずに「無限納豆」を作る

さて、次なるチャレンジは市販の納豆を使わず、納豆を自作すること。

つまり、自作した納豆を発酵スターターにするわけです。

これがうまくいけば、いかなる状況でも市販納豆を買わずして、永遠に納豆を作り続けることができる……、かもしれません!

例えばヨーグルトを自作する場合でも、発酵スターターとして自作のヨーグルトを使用することができますが、これを何度か繰り返していると乳酸菌の力が次第に弱まっていくと言われています。

つまり、自作ヨーグルトを発酵スターターとして永遠にヨーグルトを作り続けることはできないわけです。

納豆菌ではどうなのでしょう。

さっそくやってみます。

今回、材料として使用したのは、缶入りの水煮大豆。100g入りを2缶、計200gの大豆を発酵させましょう。

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これを前回同様、ちょうどよい固さになるまでお湯で煮ます。

つぎに前回自作した納豆を発酵スターターとして30~40gほど器にとります。

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大豆を煮た熱湯少々を発酵スターターと混ぜておきます。

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ちょうどよい固さに煮えた大豆を、発酵スターターとなる納豆とよく混ぜます。

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これを容器に入れます。

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フキンをかぶせて輪ゴムでとめます。

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ペットボトルでも発酵はできる!

輪ゴムでとめた容器を前回同様、発酵を促すよう温めていきます。今回は保温の熱源に、熱湯(80℃程度)を入れたペットボトルを試してみましょう。

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これをボックスの底に置きます。

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熱湯を入れたペットボトルはかなり熱いので、温度調節のために、フキンより厚めのハンドタオルを4つ折りにして、ボトルの上に敷いてみます。

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タオル2枚で、発酵にちょうどよい40度付近の温度になりました。

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その上に容器を置き、

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さらに上に保温用のタオルをかぶせます。

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熱湯を入れたペットボトルの場合、使い捨てカイロと違って、どんどん熱がさめていくので、温度計でモニタリングしながら、温度が下がってきたら熱湯入りペットボトルを取り換える必要があります。

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納豆の発酵に適している温度は40℃前後と言われますが、今回の実験ではあまり厳密に考えず、ちょっとアバウトに、おおよそ45℃~35℃の範囲におさまっていればOKということにしました。

参考までに書いておくと、実験当日、日中の室内気温は25℃ほど。

最初に容器底面の温度が45℃になるように調節した結果、約6時間経過すると35℃まで下がることがわかりました。

つまり、24時間保温する場合、例えば正午に仕込んで、夕方6時と深夜12時にペットボトルを取り換えて就寝し、早起きして朝6時にまたペットボトルを取り換えれば、仕込みから24時間後の翌日正午には発酵完了となります。

さっそく、24時間後の大豆の様子を見てみましょう。

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よし。イイ感じに菌糸が回っていますね。 さらに冷蔵熟成。

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問題なしです!

かき回してみると、糸引きもバッチリ。

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味わいも前回同様、申し分ない納豆でした。

三度目の成功、なるか?

さらに、この納豆を発酵スターターに、3度目の納豆作りにトライ。

発酵スタータは、2回目に作った納豆40gほど。

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こんどは、ビニールパックの蒸し大豆を200g使います。

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これまでと同じ手順で仕込みを進めます。

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発酵スターターとなる納豆と大豆を混ぜたものを容器に入れて、

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フキンを輪ゴムでとめ、

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使い捨てカイロを底においたボックスに、容器をセット。

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タオルをかけて保温し、

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温度をモニタリングしながら24時間発酵させます。

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24時間後に、ボックスから取り出してみます。

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うーん、今回は、ちょっと菌糸があまり増えていないかな?

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冷蔵熟成後が、これです。

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味わいとしては十分素晴らしい納豆ができたのですが、糸引きが弱いです。それと、全体の水分が少し足りない感じ。ちょっと乾燥している印象です。

やっぱり、自作納豆を発酵スターターとして永遠に使いまわすのは難しいのでしょうか?

3度目の納豆を発酵させる際、実はちょっと温度管理に失敗し、47℃~48℃くらいの高めで数時間放置してしまいました。

もしかしたら、それが原因かもしれません。

また、1、2回目より底の面積が狭い容器を使ってしまったので、結果として容器内での豆のかさが高くなり、容器の底のほうの納豆菌に酸素がまわらず、うまく発酵しなかったのかもしれません。

以上のように原因はいろいろと考えられますが、結果は粘りの少ない、あまり糸を引かない納豆になりました。

さすがに「無限」とは言えないものの、そこは愛しの自家製納豆。おいしく食べる方法を考えてみましょう。

せっかくなので、ちょい変りダネ料理の「納豆ガパオライス」がいいかもしれません!

納豆でタイ料理ぃ!? と思うかもしれませんが、これが意外に合うのです!!

タイ料理家直伝「納豆ガパオライス」の作り方

納豆ガパオライスは、タイ料理のガパオライスの肉を納豆に置き換えた創作料理。

日本の食材をタイ料理に応用するイベントで、タイ料理家の下関崇子さんが作っていた納豆ガパオがとてもおいしかったので、作り方を教えてもらいました。

ところで、下関さんは『メシ通』でも、簡単タイ料理のレシピ記事や、

www.hotpepper.jp

こんなアバンギャルドな発酵DIYの記事も執筆しているので、ぜひこちらもご覧ください。

www.hotpepper.jp

念のために書いておくと、今回は粘りが少なく糸を引きにくい納豆で「納豆ガパオ」を作ってみますが、もちろん粘りがあって、糸を引く納豆でもおいしく作れます。

納豆ガパオの味わいのカギは、もちろんタイハーブの「ガパオ」。

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コクと清涼感が一体になったようなエスニック独特の香りがします。

生のガパオは、ふつうのスーパーでは入手するのが難しいですが、アジア系食材店の通販を利用し購入することができます。

ガパオをキューブ状に固めて冷凍した商品もあり、保存が効いて使いやすいので、おすすめです。

それでは、材料と作り方を解説しましょう。

<納豆ガパオライスの材料 2人前>

  • 納豆 200g
  • ガパオ(ない場合はバジルでも可) 適宜
  • インゲン 6本
  • オイスターソース 大さじ2
  • 醤油 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • 水 大さじ2
  • ニンニク 3かけ
  • 生唐辛子 1本
  • ジャスミン米 好みの量
  • 卵 2個
  • サラダ油 大さじ

<作り方>

まず、ジャスミン米(高級なタイ米の一種)を炊いておきます。日本米でもOKですが、やっぱりガパオ炒めにはジャスミン米が最高のコンビネーション。

トッピングする目玉焼きも、あらかじめ用意しておきます。

ガパオにそえる目玉焼きは、多めの油で揚げるような感じで焼くのが個人的な好みです。黄身はとろり、白身の端のほうはカリカリになるような仕上がりがベスト。

肝心のガパオ炒めの手順は次の通り。

  1. フライパンにサラダ油をひき、弱火で熱して、粗みじんに切ったニンニクと生唐辛子から香りを引き出します。
  2. ニンニクの香りが立ってきたら、中火にし、納豆の粒とだいたい同じ大きさにそろえて切ったインゲンと、納豆を加えて炒めます。
  3. 熱で納豆の粘りが落ち着いたらオイスターソース、醤油、砂糖、水を加え、味を決めていきます。
  4. 火を止める直前にガパオの葉を好きなだけ投入し、全体に馴染んだところで、ガパオ炒めのできあがり。

ライス、ガパオ炒め、目玉焼きを皿に盛り付けて完成!

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納豆、オイスターソース、醤油の旨味三重奏がジャスミン米とからんで、もうスプーンが止まりません!

納豆の味わいといえば、ふつう「粘り」に注目が集まりがちですが、炒めると粘りはなくなります。粘りのない納豆が魅力的でないかと言えば、全然そんなことはなく、逆に納豆本来の発酵した大豆の旨味が真正面から感じられ、これがとても滋味深いのです。

ちなみに、記事の最初のほうで、納豆の発酵に植物の葉が使われることを解説し、その流れでタイの納豆「トゥアナオ」を紹介しましたが、タイ北部ではトゥアナオが調味料として使われています。

納豆は、ニンニク、唐辛子、オイスターソースなど、アジア的な味覚とミックスしても、独特のおいしさを生み出すのです。

この納豆ガパオでは、発酵がつくり出した大豆の旨味が、スパイシーなタイ風の味付けにも無理なくなじみ、ご飯のおかずとしてバッチリ。 あと、ベジタリアンやヴィーガンなど、お肉が食べられない人にも良いかもしれません。

インドネシアの大豆発酵食品「テンペ」がベジタリアン料理に使用されているのをよく見ますが、そんな感覚にも近いかもしれません。 納豆のあらたな魅力を発見したい人には、納豆ガパオライスがぜひおすすめです!

納豆ガパオを作る上での注意点としては、ガパオ炒めがドライな仕上がりになってしまうと、ライスと絡まずおいしくないので、調理中の水分の蒸発を意識しつつ、汁だくな仕上がりになるようにするとベターです。

納豆を自作する利点のひとつは、納豆が大量に使えること。いっぱい食べられるという安心感から、単にご飯にかけて食べるだけでなく、納豆ガパオのような冒険レシピにも挑戦しやすくなるのが◎です。

そんなわけで、納豆が毎日食べられなくなって焦りまくる緊急事態は、もう来ないことを望みますが、これだけ簡単に納豆が自作できることを確認できたのは収穫でした。

とにかく、自分で作った納豆の味は格別です。

みなさんも、ぜひ挑戦してみてください!

書いた人:(よ)

(よ)

「ferment books」の編集者、ライター。「ワダヨシ」名義でも活動中。『発酵はおいしい!』(パイ インターナショナル)、『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment books)、『台湾レトロ氷菓店』(グラフィック社)など、食に関する本を中心に手がける。

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