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社説 生活保護の急増 命守る確かな手だてを - 信濃毎日新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済危機で困窮に陥り、生存を脅かされる人が増えている。最後のよりどころである生活保護の制度を利用しやすくして、命を支える確かな手だてを講じなければならない。

 生活保護の相談や申請は4月に入って各地で目に見えて増えてきた。県内でも、19市と県の福祉事務所への相談は550件に上り、2月の1・8倍に達している。

 特別措置法に基づく緊急事態宣言は5月に解除されたが、状況が好転する兆しは見えない。「何日も食べ物を口にしていない」「野宿するしかなくなった」…。困窮者の支援団体には一段と切迫した声が寄せられているという。

 2008年秋のリーマン・ショックの際は、年が明けて生活保護の利用が急増した。今回、経済の打撃は当時の比でないと言われる。生活苦に陥る人はこれからさらに増えるだろう。取りこぼされる人が出ないよう、制度のあり方を見直すことが欠かせない。

 生活保護はかねて、生存権を守る制度本来の目的を果たせていないと指摘されている。不正受給の防止に重きが置かれ、厳しい要件や審査が壁になっているほか、窓口で追い返す「水際作戦」が各地で横行してきた実態がある。

 厚生労働省は今回、申請書類の不備を理由に受け付けないといった対応を慎み、速やかに保護を図るよう通知しているが、徹底されていない。住まいを失った人に、他の自治体で申請を促す「たらい回し」も起きているという。

 通知は、自動車の保有を例外的に認めるなど、要件も一部緩和した。とはいえ、壁はなお高い。資産に関する要件は、時代の変化にそぐわない面が目につく。全般の洗い直しが要る。

 家族や親族に、援助できないか尋ねる扶養照会もなくすべきだ。関係が途切れた家族に連絡がいくのを望まず、申請をためらう人は少なくない。困窮者を保護から遠ざける要因になっている。

 ぎりぎりの状況に追い込まれている人を見放す社会であってはならない。住まいと食べ物に困らないようにして生存を保障することは、政府、自治体の責務だ。

 生活の基盤である住まいに関わっては、空き家などを活用して住居を確保するとともに、今ある住まいを失わないための支えも重要になる。家賃が払えない人への「住居確保給付金」は、支給対象が広がったものの、制度の枠内で家賃を賄える人は限られるだろう。さらなる見直しが必要だ。

(6月8日)

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