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ヤフー・LINEが目指すスーパーアプリとは 生活サービス、一括で提供 - ITmedia

産経新聞

 「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)と無料通信アプリLINEの経営統合計画が、8月4日に公正取引委員会に承認された。2021年3月をめどに誕生する国内最大のインターネット企業が、指すのは、生活に必要なあらゆるサービスをスマートフォンのアプリ1つで提供する「スーパーアプリ」だ。使い勝手の良さで利用者を囲い込むだけではなく、膨大なデータを集積・分析して新たなサービスやビジネスモデルの創出にもつなげようとしている。

photo フリマアプリ「PayPayフリマ」とオンラインショッピングモール「PayPayモール」のCM発表会に出席した、(左から)宮川大輔さん、ゆりやんレトリィバァさん(2019年10月28日)

 「PayPayの上に機能を追加し、裾野を広げていく」。ZHD親会社のソフトバンクの宮内謙社長は4日の決算会見で、グループ総出でPayPayのスーパーアプリ化に取り組む姿勢を示した。

 今秋以降には傘下のジャパンネット銀行を「PayPay銀行」、ヤフー保険を「PayPay保険」というように金融サービスの名称を「PayPay」に統一すると表明。PayPayを中核に据えた、スーパーアプリ構想の一手でもある。

 国内ではまだなじみがないが、スーパーアプリとはどのようなものか――。通話チャットからSNS(会員制交流サイト)、インターネット通販、決済・送金、配車までさまざまな機能を持つアプリを統合し、日常生活のあらゆる場面で活用できる機能を備えた「プラットフォーム」のような役割を持つ多機能型アプリを指す。

 アプリをインストールしたのに使わず放置し「必要なときに見つからない」「ログイン情報が分からない」という経験をした人は多いのではないか。スーパーアプリは、プラットフォームとなるアプリの中に各種サービスに特化した「ミニアプリ」が用意され、アプリストアからアプリをいちいちダウンロードしなくても、必要なサービスにアクセスできる仕組みだ。

 例えば、TwitterのようなSNSで知人の投稿を閲覧し、紹介されている映画に関心を持ったら、Webブラウザを立ち上げて情報を集め、予約アプリでチケットを購入する。一連の作業はSNS、ブラウザ、予約アプリと3つのアプリを起動する。だが、スーパーアプリであれば、プラットフォームとなるアプリ上で一括して3つの作業ができる。しかも個人情報やクレジットカード情報の登録は最初の1回で済み、アプリごとに情報を登録する煩わしさから解放されるのも大きな利点になる。

 スーパーアプリが注目される背景には中国や東南アジアでの成功事例がある。

 中国では「財布がなくても生活できるがWeChatがなければ生きていけない」ともいわれる。同国のIT大手、Tensentが手掛ける対話アプリのWeChatは、決済や食事の出前、映画館の予約まで暮らしに必要な多様なサービスをそろえ、利用者12億人のスーパーアプリとして台頭。アリババグループの「Alipay」も決済アプリを軸にサービスの幅を広げ、利用者は世界で13億人を超える。

 東南アジアでは配車アプリを起点に機能を拡大したインドネシアの「ゴジェック」や、シンガポールの「グラブ」といったスーパーアプリが相次いで誕生している。

 世界ではGAFA(ガーファ)と呼ばれるGoogle、Apple、Facebook、Amazon.comの米巨大企業4社が利用者数や収益で席巻しているが、スーパーアプリはこれらを介さずにさまざまなサービスを利用することが可能で、GAFAに対抗する勢力になる可能性も秘める。

 「米中に次ぐ第三極をつくる」。ZHDの川辺健太郎社長は繰り返す。LINEとの統合でスーパーアプリ化を急ぐのは、米中のIT大手との差が広がっていくことに強い危機感を持っているからだ。もともとスーパーアプリ化を志向してきた両社だが、規模を広げてそれぞれ持っていなかった機能を補完することで米中の背中を追う。

 スーパーアプリとして多様なサービスをひとまとめにすると、膨大な顧客データを収集できるのが企業側にとっての魅力だ。それを分析して消費者にマッチした商品やサービスを創出し続ける循環ができれば、日本から新たなビジネスやサービスを世界に発信できる可能性も見えてくる。

 もっとも、日本市場にスーパーアプリが浸透するかは未知数だ。顧客情報の集中は企業にとっては利点だが、その半面、サイバー攻撃で情報が漏えいした際のリスクは大きくなる。個人情報の共有に抵抗感が強い日本人も多く、スーパーアプリがすんなりと受け入れられるかは未知数だ。

 スマートフォン決済を入り口に多様なサービスを集約させてスーパーアプリ化を狙う動きは、通信・IT大手に広がる。NTTドコモは「d払い」に飲食の事前注文などのミニアプリを導入。KDDIは金融サービスを中心にスーパーアプリを目指している。一方、楽天はネット通販など多様なサービスを顧客に利用してもらい、自社の「経済圏」に囲い込む戦略で、言葉こそ違うが方向性はスーパーアプリに近い。

 14億人の巨大市場で2強体制の中国と比べると、有力な決済アプリが乱立する日本ではスーパーアプリ化に向けた競争激化や再編が見込まれる。親会社が統合するPayPayと「LINE Pay」はグループとしての二重投資を避けるため、いずれは統合・集約する局面を迎える公算が大きい。(経済本部 万福博之)

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August 26, 2020 at 05:00AM
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