独身で一人暮らしをしているC夫さん(男性、20代半ば)は、新型コロナウイルスの感染予防がきっかけでテレワークとなった。
外出する機会がほとんどなくなり、はまってしまったのがスマホ版のRPG(ロールプレーイングゲーム)である。コロナ以前は、スマホゲームと言っても、暇つぶしで週2〜3日ログインし、長くても30分程度の利用であった。
しかし、テレワークで家にいる時間が長くなって以降は、一晩中ゲームに熱中することもあり、朝のZoom会議に遅れたり、だらしない格好のまま参加したりすることも多くなった。上司に注意されて謝りながらも、頭はゲームのことでいっぱいだったそうである。
ゲームに費やす時間が長くなると、比例して課金額が増えていった。入社2年目で、婚約中の彼女もいたので節約していたが、月給の3分の1程度の8万円を課金した月もあった。
生活費に余裕がなくなると、カップラーメンと駄菓子で食事を済ませるようになり、ついに婚約者とためていた結婚資金にまで手を出している。
消費者庁の調査(2016年3月)では、20代の社会人のうち37.9%が週に5日以上スマホゲームで遊んでいる。
世界保健機関(WHO)の示した「ゲーム障害」の特徴と診断の目安は、「時間などをコントロールできない」「日常生活においてゲームが最優先となる」「ゲームによって悪影響が生じても止められない」という状態が原則として1年以上続くことである。
ゲーム障害の人には、薬物やアルコールの依存症などと共通の特徴が見られる。脳機能が変化し、理性をつかさどる前頭前野の低下で感情のコントロールが難しくなり、刺激に対して快楽を感じる神経系(報酬系)の反応が欠乏し、さらなる快楽を求めるようになる。
こうなると、もはや自分の意思で制御することは難しいので、インターネット依存やゲーム障害の専門医がいる病院を受診することが必要だ。
受診の目安は、心身の健康低下(ゲーム以外興味が無くなる、昼夜逆転など)や社会生活への影響(遅刻や人間関係の悪化など)などの問題が見られる場合となる。
しかし、当事者である本人は問題を軽視したり、自覚がなかったりするケースが多く、同居している家族の方が先に問題に気付くことが多い。
C夫さんの場合は、ゲームにはまった期間は約5カ月と短かったが、すでに社会生活に支障が出ており、健康面のみならず経済面でも破綻することは目に見えていた。
その状況に気づいたのは彼の婚約者で、自分に対する関心がなくなってきたことが分かり、また結婚資金に手を付けたことを知って本当のことを話してほしいと迫った。 彼は、課金を止められないこと、昼夜逆転生活などについて説明したそうだ。
そして婚約者にスマホゲームをやめることを誓ったが、何度か約束を破っている。婚約破棄を切り出され、焦ったC夫さんは婚約者に調べてもらった依存症専門の病院を予約した。
依存症のような状態に陥っている人は、ウソをついたりごまかしたりして問題を矮小(わいしょう)化することもある。「自覚すること」が回復への第一歩となる。
舟木彩乃(ふなき・あやの) ストレス・マネジメント研究者。心理カウンセラー。ヒューマン・ケア科学博士・株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。筑波大学大学院博士課程修了。カウンセラーとして8000人以上の相談に対応。国家資格として精神保健福祉士や公認心理師、キャリアコンサルタントなどを保有。著書に『首尾一貫感覚で心を強くする』(小学館新書)。
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