日銀の黒田総裁は、21日まで開かれた金融政策決定会合を受けて、日銀本店で午後3時半から記者会見を行いました。
金融政策決定会合のあとの記者会見は、45分間がめどとされていますが、21日は金融政策の方向性や円安の影響などをめぐり質問を希望する記者が多く時間が延長され、午後4時33分に終了しました。
21日の会見は、黒田総裁が大規模な金融緩和策を継続していく考えをあらためて強調する場となりました。
会見内容を詳しくお伝えします。
企業 消費者の物価観「非常に慎重 完全には変わらず不十分」
日銀の黒田総裁は、記者会見で物価上昇が続く中での企業や消費者の物価観の変化について「企業が価格転嫁を進めようという動きが出てるってことは事実だが、企業や消費者の間で従来から続く物価や賃上げに対する非常に慎重な考え方は、完全には変わったとは見ておらず、まだ不十分だ」と述べました。
「金利を引き上げるつもりは全くない」
今のような大規模な金融緩和が必要なのかと問われたのに対し「今の時点で金利を上げたときのインパクトは恐らくモデルで計算したものよりもかなり大きなものになる。私どもとしては金利を引き上げるつもりは全くない。長期金利のプラスマイナス0.25%のレンジを変更するつもりも全くない。粘り強く金融緩和を続ける」と述べました。
「もう一段の賃上げが必要」
賃上げの現状について「賃金の上昇が進んでいることは事実だが、現在の2%程度の消費者物価の上昇には、追いついてない。経済の持続的な成長のもとで物価が持続的安定的に上昇する形になるためにはことしの冬のボーナスや来年の春闘などでもう一段の賃上げが必要だ」と述べました。
「4月の見通しよりも物価上昇が進んでいる」
最近の物価上昇について「4月の見通しよりも物価上昇が進んでいるのは事実であり、ある程度の企業の価格の転嫁が進んだと思う。ただ、内容を見ると国際商品市況の上昇を反映した輸入物価の上昇が大きい。交易条件の悪化を通じて景気の下押しにもなり、その後も続くということにならない」と述べました。
「目標の持続的安定的な実現にはなお至っていない」
その理由について黒田総裁は「わが国では長きにわたるデフレの経験によって定着した物価や賃金が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く、その転換に時間を要している」と指摘しました。
そのうえで「大規模な金融緩和は経済物価の押し上げ効果をしっかりと発揮している。引き続き金融緩和を実施していくことで時間はかかるかもしれないが賃金の上昇を伴う形で物価安定目標を実現する事は可能だ」と述べました。
急速な円安の進行「経済にマイナスで望ましくない」
そのうえで「わが国経済にとって円安によって収益が改善した企業が設備投資を増加させたり賃金を引き上げたりすることよって経済全体として所得から支出への前向きな循環が強まることが大事だ」と述べました。
安倍元首相事件の影響「金融政策実施の考えに変わりなし」
安倍元総理大臣が銃撃されて亡くなった事件の影響についてコメントするのは控えるとしたうえで「日本銀行としてはみずからの使命である物価安定の目標の持続的安定的な形での実現を目指して金融政策を実施していく考えに変わりはありません」と述べました。
「金融緩和を継続」
この金融政策の方向性を示す表現は、前回から変わっておらず、大規模な金融緩和策を続けていく考えを重ねて示した形です。
「金融・為替市場の動向を十分注視」
経済のリスク要因について「内外の感染症の動向やその影響、今後のウクライナ情勢の展開、資源価格や海外の経済・物価の動向など、日本経済をめぐる不確実性は極めて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」と述べ、急速に進む円安による経済・物価への影響を注意深く見ていく考えを示しました。
物価先行き「今年末にかけて上昇率高まる」
先行きについては「今年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想している」と述べました。
景気の現状「持ち直している」
これまでは「一部に弱めにの動きがみられるが、基調としては持ち直している」という表現でしたが、今回は景気判断をいくぶん上方修正しました。
また、先行きについては「資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくと見ている」と述べました。
「大規模な金融緩和策を維持」
このなかで黒田総裁は手元に用意した文書に確認しながら「長短金利操作のもとでの金融市場調節方針について、指値オペの運用も含め、現状維持とすることを賛成多数で決定した」などと述べ、今の大規模な金融緩和策を維持することを決めたと述べました。
大規模な金融緩和策の維持を決定

日銀は21日の金融政策決定会合で「大規模な金融緩和策の維持」を決めました。
記録的なインフレ=物価高騰を抑えるため利上げなどの金融引き締めを急ぐ欧米の中央銀行と、日銀の違いが、ますます際立つことになりました。
日本と欧米の金融政策の違いから金利差が拡大していることを背景に、いま円相場は24年ぶりの円安水準になっています。
そしてエネルギー価格の上昇に、その円安の進行がかさなって、国内でも、物価上昇が進んでいます。
物価上昇率の見通し「2.3%」に引き上げ
金融緩和を続けることによってもたらされる、急速な円安と物価高。
この悩ましい問題に、黒田総裁は、どう対処するつもりなのか、21日の午後3時半から始まる記者会見の発言が注目されます。
黒田総裁の発言を速報でお伝えします。
日本が金融緩和を維持する理由
欧米は物価上昇率が高く、例えばアメリカでは6月の消費者物価指数が前年同月比でプラス9.1%と、およそ40年半ぶりの記録的な水準となっています。利上げなどによって金融を引き締め、景気にブレーキをかけることで、物価上昇を抑え込もうというねらいです。

一方、日本の物価上昇率は2%程度で、欧米ほど高くはありません。日銀は「日本経済はコロナ禍からの回復の途上にあり、いま金融引き締めに転じると景気を冷え込ませかねず、緩和を続ける必要がある」と考えています。
いま金融を引き締めると、企業向けの貸し出しや、個人向けの住宅ローン・自動車ローンなどの金利が上昇するため、景気が悪化しかねないと懸念しているのです。
物価上昇の見通しと金融緩和
数字としては2%に達する見通しですが、日銀はその中身が目指してきたものとは違うと考えています。今の物価上昇は、エネルギーや穀物などの原材料価格の高騰を受けたもので、需要の増加や賃金の上昇を伴っていないとしています。これが伴わないと、企業収益の悪化や家計の実質所得減少を通じて経済の下押し要因になるとみています。
円相場への影響

一方、日本は日銀が金融緩和策の一環として、長期金利を「0%程度」、具体的には「0.25%程度を上限」に抑え込んでいます。これだけの金利差があると、投資家としてはドルで資金を運用したほうがより利益が見込めることになります。
外国為替市場はさまざまな要因から変動しますが、金利差の面からいえば、円を売ってドルを買う動きにつながりやすい状況が続くという見方が出ています。
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