三菱ふそうトラック・バスは7日、航続距離を短くする代わりに価格を下げた電気自動車(EV)トラックなど28種類を2023年春に発売すると発表した。配送拠点から配送先までの「ラストワンマイル」の用途などを見込む。中国製EVが格安車で日本市場に進出しており、対抗できる価格の選択肢を用意する。
7日に横浜市で発表会を開き、小型EVトラック「eキャンター」の新モデルを公開した。目玉のひとつが廉価版。航続距離をあえて現行モデルより少ない80キロに抑える代わりに、電池の量を半分の41キロワット時に減らした。
価格の詳細は明らかにしなかったが、コストの多くを占める電池を減らすことで「リース販売も売り切りも、価格は現行車より安くなる」(同社)。電池は中国大手の寧徳時代新能源科技(CATL)製を採用した。
EVトラックはコストの高さが課題だ。量産効果が少ないうちは、EVトラックの価格は同サイズのディーゼル車の2倍程度とみられている。トラックの価格は荷台や装置を取り付ける架装によって大きく異なるが、「平ボディー」と呼ばれる一般的なタイプでディーゼルの小型トラックは400万円程度だ。EVでは1000万円前後とみられる。

カール・デッペン社長兼最高経営責任者(CEO)は「もはやEVへの移行をためらう理由はない。ラストワンマイルから拠点間輸送まで多くの需要に対応できる」と強調した。欧州やアジアにも輸出する。
三菱ふそうは17年に国内メーカーで初めてEVトラックを発売し、日本や米欧で450台を販売した。現行のeキャンターは1回の充電で走る航続距離が100キロにとどまる1種類しかなかった。
新型は電池の量を3種類から選べるようにし、電池容量が現行より5割多いタイプは航続距離を2倍に延ばす。車台の長さも5種類を用意する。車両総重量は従来は7.5トンのみだったが、新型は国内向けで5~8トンと幅を広げる。
親会社の独ダイムラートラックホールディングとも開発で協力している。同社は39年までに主要市場で販売するトラックやバスをEVや燃料電池車(FCV)にする方針を打ち出している。
国内大手の小型EVトラックは22年にも出そろう見通しだ。いすゞ自動車は「エルフ」のEVを22年度後半に初めて投入する。エンジン不正問題を起こした日野自動車も6月末に「デュトロ Z EV」を発売した。23年3月までにヤマトホールディングスに500台を納入する計画だ。
国産EVの品ぞろえが乏しいうちに、格安の中国製EVが市場を開拓し始めた。京都大学発のフォロフライ(京都市)は積載量1トンの小型EVトラックの販売準備を進めている。同社が設計し、生産は中国の商用車メーカー東風小康汽車に委託する。価格は同サイズのディーゼル車に近い380万円程度を見込む。
フォロフライの商用EVは物流大手のSBSホールディングスが大量導入を決めている。佐川急便もスタートアップのASF(東京・港)が中国から輸入する小型商用EVの採用を予定するなど、物流の脱炭素化を求める荷主に応えようとEV化が進む。
日本勢のトラックは中国製より高い。各社は整備などサービスの充実で対抗する。三菱ふそうは電気代や整備を含めた維持費用はEVが割安になると強調する。充電時間の最適化や、EVでの効率のよい配送経路を示すサービスなども併せて提供する。
ボストン・コンサルティング・グループの滝沢琢氏は「トラックは定額支払いのリース販売が多い。整備費や電気代、管理費などを含めた総保有コストで割安さを打ち出せるかどうかがEV普及のカギになる。街中の配送拠点で充電でき、多くのインフラ整備を必要としない小型トラックは日本でもEV化が進むだろう」と指摘する。
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