日本はいつの間に借金大国になってしまったのでしょうか(写真:PIXTA)
消費税が上がるたびに、「こんなに税金を上げていったいに何に使うのか」思ったことがあるかもしれません。実際、増税は現在の税金ではまかないきれないものがあるからこそ行われるもの。『アベノミクスによろしく』などの著書があり、賃金問題や労働環境、経済政策などに詳しい弁護士の明石順平氏が、『働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話 データで見る日本経済の現在地』より、税金の使い道について解説します。
日本の「借金」はいかに膨らんでいったのか
給与明細に記載された給料から差し引かれている所得税などの額を見て、あるいは10%までに引き上がった消費税のことを考えて、「税」というものを呪った経験があると思います。そして、日本の景気がよくならないのは「すべて重税のせいだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、税金のせいで景気がよくならない、税金が悪い、という考えは本当なのかどうか、データを見ながらいま一度考え直してみたいと思います。
国の支出に対する収入源の1つとして税収があるわけですが、今の税収では賄いきれない、しかもこれ以上の増税はできないとなると、国は借金をするしかなくなります。日本が借金大国であるということは、誰でもどこかで耳にしたことがあるでしょう。その額(国債及び借入金現在高)は、2022年3月末時点で実に1241兆3074億円にもなっています。借金がどのように膨らんでいったのか、戦後までさかのぼって見てみましょう。
実は、戦後しばらく、日本は無借金財政でしたが、1965年度に戦後初めて国債を発行しました。これは、1964年度に東京で開催されたオリンピックの反動で翌年から不景気になり、税収が不足したからです。
ただ、それ以降も建設国債が毎年発行されました。国債発行で集めたお金で公共投資を行い経済成長できれば、自然と税収が増えて借金も十分に返せると見込んでのことでした。実際に、1954年12月~1973年11月頃は高度経済成長期と呼ばれる日本経済が一番成長した時期で、この間は毎年のように減税をしながらも、経済成長率が高かったので、税収は増加していました。
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