本日のNY為替市場のドル円は、米国の経済指標やブラックアウト期間のためFRB高官などの要人発言の予定がないことで、ニューヨーク株式や債券市場の動向を見据えながら、格付け機関による米国債の格付け関連のヘッドラインに警戒する展開が予想される。
ドル円は、来週の日銀金融政策決定会合で現在の大規模金融緩和策が維持されるとの関係筋の話を受けて、一目均衡表・転換線139.69円を上抜けて139.73円まで上昇する局面があった。しかし、NYカットオプションが139.50円(12日)と140.00円(9日)に控えており、値動きを抑制しつつある。
本日発表される5月カナダ雇用統計の予想は、新規雇用者数変化が+2.32万人の増加、失業率が5.1%となっており、4月の+4.14万人からは減少、5.0%からの上昇が見込まれている。予想通りに労働市場の悪化が確認されても、カナダ銀行(BOC)は、インフレ抑制のための利上げ継続を表明していることで、7月と9月会合での追加利上げの見通しには変わりないと思われる。
ビュードライ・カナダ銀行副総裁は、昨日、利上げの主な要因として予想外に堅調な家計消費、住宅市場の回復、労働市場の逼迫、粘着性のあるコアインフレを挙げていた。
米国の債務上限は、5日の「Xデー」を前に、3日にバイデン米大統領が財政責任法案に署名したことで、2024年11月の米国大統領選挙後の2025年1月まで適用停止となった。6月1日時点で米財務省が保有する現金残高は228.9億ドルとなり、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルを下回っていた。そのため、今後は米財務省短期証券(Tビル)の大量発行による資金調達を余儀なくされる模様で、米債利回りの上昇見通しはドル買い要因となる。一方で、流動性が吸収される可能性はドル売り要因となるため、Tビルの大量発行による債券市場の動向には注目しておきたい。
さらに、格付け会社による米国債の格付けの判断にも引き続き警戒しておきたい。2011年8月2日にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後の5日に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債格下げを決定していた。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、6月7日の高値の140.25円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、6月1日の安値の138.45円。
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