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花王、中国での紙おむつ生産終了 構造改革費用600億円 - 日本経済新聞

花王は3日、中国での紙おむつ生産を同日付で終了したと発表した。中国の紙おむつ市場はかつては日本勢が強かったが、ここ数年は現地企業のシェアが拡大し、花王は採算が悪化していた。国内では日用品なども含めて10カ所ある工場の生産体制を見直す。2023年12月期に600億円の構造改革費用を計上する。

生産を終了したのは「メリーズ」ブランドの紙おむつを製造する合肥工場(安徽省合肥市)。工場売却などについては現地政府と調整して決定する。有価証券報告書によると、同工場の従業員数は89人(22年12月末時点)で、合意の上、雇用契約を解除する。国内から輸出し、紙おむつの販売は継続する。中国での売上高は公表していない。

花王は09年に中国で紙おむつの販売を開始した。12年に合肥工場が稼働し、現地生産を始めた。通気性や肌触りの良さが消費者に支持されてきたが、中国企業の製品の品質が向上し、販売が苦戦していた。中国市場での花王のシェアは10年代後半に一時は10%程度あったもようだが、現在は数%程度まで低下したとみられる。

中国の紙おむつ市場そのものは成長する一方、花王だけでなく日本企業の苦戦が目立っている。中国の調査会社、艾瑞諮詢(アイリサーチ)によると、22年の452億元(約9000億円)から26年には4割増の635億元まで拡大する見通しだ。出生数は減少しているものの、紙おむつの普及が進むためだ。

中国ブランドのシェアは17年は2割程度だったが、21年には6割近くまで上昇した。品質向上に加えて、1990年代以降に生まれた自国ブランドへの愛着が強い世代が親となり、「碧芭宝貝」「ベビーケア」といった中国ブランドを好むようになっている。

構造改革ではこのほか、国内の生産体制の最適化を検討する。長谷部佳宏社長は同日の決算会見で「紙おむつに限らずすべての工場で最適化する」と説明した。年内に詳細な内容を公表する予定だ。

化粧品ブランドの統廃合も継続する。ブランド数は最大で約50あったが、現在は約30まで減らした。さらに約10ブランドを対象に事業を継続するかどうか判断する。

構造改革に伴い花王は同日、2023年12月期の業績予想を下方修正した。連結営業利益(国際会計基準)は前期比45%減の600億円、純利益は52%減の410億円となる見通し。それぞれ従来予想を600億円、470億円下回り、増益予想から一転して減益となる。

原価率の改善などの効果は24年12月期から出始め、25年12月期以降は年間300億円の利益改善を見込む。

構造改革と並行して成長戦略も推進する。スキンケア事業では欧米を中心に高価格帯の紫外線対策製品を手掛けるオーストラリアのボンダイサンズを買収した。同社の販路を生かして欧米市場を開拓する。化学品事業では米国で25年に洗剤などに使われる三級アミンの新しい製造拠点が稼働する予定だ。25年12月期に営業利益1600億円、27年12月期に19年12月期の2117億円を上回る過去最高益を目指す。

同日発表した23年1〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比57%減の166億円だった。合肥工場の生産終了に伴い80億円の減損損失を計上した。スキンケア関連商品など需要回復で販売を伸ばした製品があるものの、売上高は微増の7385億円だった。

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