日本銀行による早期のマイナス金利解除を見込むエコノミストが一段と増えている。2%の物価安定目標の実現可能性の高まりとともに、来年4月までの解除見通しが同会合の5割を筆頭に7割弱に達している。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に1-6日に実施した調査によると、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が67%となった。最多は4月の50%で、前回の10月会合前の調査の29%から大きく上昇。次いで来年1月が15%となった。今月会合での解除を見込むエコノミストはおらず、94%は現状維持を予想している。
調査リポート:日銀12月会合ほぼ全員が現状維持予測-賃上げ期待上昇
調査結果は足元の市場動向と整合的だ。植田和男総裁は7日、金融政策運営に関して「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と 発言。6日には氷見野良三副総裁が出口局面における家計や企業、金融機関への影響に 言及した。市場には早期の正常化観測が急速に広がり、7日の債券市場で新発10年債利回りは一時前日比10.5ベーシスポイント(bp)高い0.75%を付け、今年最大の上昇幅を記録した。
マイナス金利解除時期の予想が前倒し
出所:ブルームバーグ・サーベイ
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、これまでの日銀の説明を踏まえると正常化の条件がそろうのは「来年の春闘賃上げ率が今年と同程度以上になり、賃金上昇がサービス価格を押し上げていることが確認できる来年3月以降」と指摘。政策変更のタイミングは経済・物価情勢の展望( 展望リポート)で物価見通しを示す来年4月が妥当と語った。
他方、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「流れとして最も美しいのは、来年4月のマイナス金利解除」としつつ、金融市場や政治情勢がどう転ぶかわからない状況の中で、「日銀としてはできるだけ早く宿題を片付けてしまいたい潜在願望はあるだろう」とみる。1月か3月の会合でマイナス金利解除が決まる可能性が「少なからずある」との見方を示した。
金融政策の正常化に対する市場の織り込みが進む中、94%のエコノミストは、マイナス金利を解除しても日本経済に大きな悪影響を与えることにはならないとみている。
日銀は2%物価目標の持続的・安定的な実現が見通せるまで現行のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の枠組みとマイナス金利を維持する方針を示している。実現のカギを握る来年の賃上げについて、エコノミストの52%は30年ぶりの高水準となった今年よりも高くなると予想。71%が物価安定目標を達成する可能性が高まっていると回答した。
同時撤廃
政策の正常化局面におけるマイナス金利とYCCの枠組みの取り扱いについては、46%が「同時に廃止する」と予想した。マイナス金利先行が31%、YCC先行が19%だった。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、来年4月にマイナス金利が解除され、同時にYCCが再修正されるとしつつ、YCCは「金利急騰時のバックストップとして枠組み自体は当面残されよう」と指摘。その上で、「連続利上げに入る前に、日銀は国債買い入れ減額を進め、量的引き締め局面に入るだろう」とみている。
前回の10月会合では、米金利に連動して日本の金利に上昇圧力がかかる中で、長期金利の1%超えを容認するYCCの運用柔軟化が決まった。ソシエテ・ジェネラル証券の劔崎仁調査部長氏は、「足元で長期金利が1%を大きく上回る可能性が高まっていることもなく、市場機能も改善方向にある」とし、今月会合の現状維持を見込んでいる。
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