このところの円安傾向は今後数週間にさらに拍車がかかるものと見込まれる。トレーダーが日米の金融政策見通しを修正していることが背景にある。
短期ポジションについてのオプションベースの主要指標に基づけば、円を巡るトレーダーの強気姿勢は昨年8月以来、最も後退した状態にある。4日には投機的アカウントの円売りが東京からニューヨークにかけて見られた。
昨年末の上昇で円は買われ過ぎの領域に押し上げられたことがテクニカル指標で示されており、円には一段の下落余地が多く残されている。
こうした状況は全て日米の金融政策の方向性の違いに起因する。能登半島地震を受けて、日本銀行が今月にはマイナス金利政策の解除を決める可能性は現時点では低くなったと見受けられる。
一方、米国では労働市場の底堅さを示すデータ発表を受けて米10年債利回りが4%を上回り、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が早期の利下げに踏み切るとの観測も後退。ドルが他の主要通貨に対し上昇する一方で、円は水をあけられている
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ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、アループ・チャタジー氏(ニューヨーク在勤)は電子メールで、「ドル・円上昇は何か日本に特定された事柄というよりも、米国の利回りによる支援に関係するものだ」とし、「米利下げについて市場にはあまりにも早期に過大な織り込みがあった」と指摘した。
巻き戻しの動きにトレーディングも活発化し、CMEグループでの3日の先物取引高は昨年12月19日以来の高水準となった。また、米国証券保管振替機構(DTCC)のデータによれば、4日の円オプション取引は12月14日以来の活況を呈した。
円は4日に対ドルで一時1.1%安となり、2週間強ぶりの安値を付けた。年初からは2%余りの下落となっている。
円の伸び悩みは外国為替市場ではよく知られた話だ。ドイツ銀行のマクロストラテジスト、アラン・ラスキン氏は「既視感がある」とした上で、「23年終盤の米国債強気相場が正しかったのか、市場に行き過ぎがあったのかという点が、24年初頭の主要テーマになる」との見方を示した。
原題: Markets See Yen’s Slump Deepening on Rethink of Fed, BOJ Path(抜粋)
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