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ゴールドマン・サックス、3部門に組織再編 脱・投資銀依存へ(写真=ロイター) - 日本経済新聞

【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマン・サックスは18日、大規模な組織再編を実施すると発表した。主力の投資銀行と市場運用の業務を1つの部門に統合するなど柱となる事業を3部門に集約し、富裕層向けなど比較的収益の安定したビジネスを強化する。厳しい収益環境の継続を見据え、長年の課題だった景気・市況に左右されやすい事業モデルからの脱却をめざす。

これまでは①投資銀行②市場運用③資産運用④消費者・富裕層向け――という4つの業務を柱にしてきた。このうち投資銀と市場運用を統合して「グローバルバンキング&マーケッツ」部門、資産運用と消費者・富裕層向けを統合して「アセット&ウェルスマネジメント」部門とする。資金管理や決済サービスを提供するトランザクションバンキングなど法人や機関投資家向けにデジタル金融サービスを提供する「プラットフォーム・ソリューションズ」部門と合わせ、計3部門に再編する。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「きょう我々は次なる成長局面に入った。事業の再編で顧客により良いサービスを提供できる」と強調した。決算説明会では「成長基盤の拡大と(事業運営の)効率性の向上を加速させる」と再編の狙いを語った。

ゴールドマンは企業の発行する株式・社債を引き受けたり、M&A(合併・買収)の助言をしたりする投資銀ビジネスで業界トップクラスの地位を保ってきた。市場変動を捉えて株や債券などを機動的に売買するトレーディングでも強みを持ち、2021年は純営業収益(事業会社の売上高に相当)の6割以上を投資銀と市場運用が占めた。

ところが22年は米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げや米景気の悪化で企業の資金調達や買収といった活動が冷え込み、18日発表の22年7~9月期決算で投資銀の収益は前年同期比で57%減った。会社全体の純利益も30億6900万ドル(約4500億円)と43%減り、投資銀の不振が足を引っ張る構図が鮮明だ。

ソロモンCEOは18日の米CNBC番組で「米国が景気後退に陥る可能性は十分にある」と語った。高インフレやFRBの引き締めが落ち着く時期は見通せず、投資銀の収益環境は当面厳しい状況が続くと身構える。市場運用も安定的に高い収益を上げ続けるのは難しい面がある。

今回の組織再編には資産運用と消費者・富裕層向けビジネスを統合し、大きな収益源に育てることで、投資銀・市場依存の事業モデルを変えようという意図が浮かぶ。同業のモルガン・スタンレーはここ数年、資産運用会社やネット証券の買収などを通じて収益の安定をはかってきた。

ゴールドマンもかねて消費者向け金融の強化をめざしてきた。16年にはネット銀行「マーカス」のサービス提供を始めたが、収益化で苦戦していた。米メディアによると、18年秋にソロモンCEOが就任して以降、大規模な組織変更は3回目になるという。収益構造の転換をめざす同社の苦悩もにじむ。

米大手銀の7~9月期決算では、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカの投資銀手数料も軒並み5割ほど減った。投資銀ビジネスが厳しいのは各行同じだ。

ただJPモルガンやバンカメは急ピッチの金利上昇に伴う預貸利ざやの拡大で、融資などから得られる純金利収入が2~3割台と高い伸びをみせた。純利益の減少率もJPモルガンが17%、バンカメは8%にとどまり、ゴールドマンより小さい。米銀経営における事業ポートフォリオ分散の重みは増している。

QUICK・ファクトセットによると、ゴールドマンのPBR(株価純資産倍率)は1倍を割り込み、モルガン・スタンレーの約1.4倍やJPモルガンの約1.3倍より低い。こうした株式市場の評価もゴールドマンにさらなる改革を促した面がある。

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