自動車や船舶などに使われる日本産の複数のステンレス製品に中国政府が高い関税をかけていることについて、WTO=世界貿易機関は協定に違反しているとして、中国に是正を求める判断を示しました。
中国政府は自動車や船舶の部品、それに家電製品などに使われる日本産の複数のステンレス製品に2019年7月から最大で29%の関税を上乗せしています。
日本政府は、こうした措置は国際貿易のルールに違反しているとして、おととしWTOに提訴していました。
これについて、WTOの1審にあたる小委員会は19日、日本の主張の多くを認める報告書を公表しました。
報告書では、中国政府が性能や用途などが異なる複数の製品に一括して高い関税をかけているのは不適切だなどとして、中国に対して措置を是正するよう求めています。
WTOにおける紛争解決をめぐっては、最終審にあたる上級委員会が、委員を選任できず機能停止に陥っていることから、日本や中国を含む一部の国や地域は、暫定的な解決の枠組みを設けています。
しかし中国政府は、これまでにこの暫定的な枠組みによる上訴の手続きをとっていないということで、今後日本の勝訴が確定する見通しです。
松野官房長官「速やかに是正するよう求めていく」
松野官房長官は閣議のあとの記者会見で、「中国が今回の報告書の内容を真摯に受け止めるとともに、WTO協定に非整合的であると明確に認定された措置を速やかに是正するよう求めていく」と述べました。
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