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立ち退いた住民、「27年」前提に動いた経済…リニアの開業後退、困惑の飯伊「いつまで負担と影響続く」「約束守るべき」|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト - 信濃毎日新聞デジタル

 リニア中央新幹線の品川―名古屋間の開業目標を巡り、これまで掲げた2027年は「困難」と繰り返してきたJR東海が14日、「27年以降」と明文化し、国土交通省に届け出た。長く開業時期が不透明なまま長野県駅やトンネル工事が進む飯田下伊那地方の関係者からは、静岡工区の進ちょくを含め早期開業への期待の一方、立ち退きや工事影響など地元の「負担」が小さくないとして27年開業をあくまで「守るべきだ」との声も。JR東海は地元の懸念に改めて向き合う姿勢が欠かせない。

 「難しいとは聞いていたが、地元の協力に応える意味でも27年開業の約束は守るべきだ」。飯田商工会議所の原勉会頭は、飯田下伊那のリニア工事で立ち退いた住民がいることに触れ、語気を強めた。「建設会社や商売をする人も27年開業を見越して動いている。状況が変わるなら、地元としっかり向き合って説明してほしい」。開業時期が不透明なまま地域づくりを進める難しさを肌で感じる立場にもあり、長野県駅―名古屋駅間の先行開業を検討するべきだ―とも訴えた。

 県内のリニア工事は、全長52・9キロのうち96・9%に当たる51・3キロ区間が契約か着工済み。工期は27年開業予定とした当初の目標に合わせ、26年度末までに完了するよう設定している。

 14日、飯田市役所で取材に応じたJR東海広報部は県内工区について「(今回の変更申請で)直ちに工期を見直すことは考えていない」としつつ、南アルプストンネル静岡工区の状況を考慮し、従来工期を今後、見直す可能性も示唆した。

 工事が進む一方、残土の行き先は一部がまだ決まっていない。広報部によると、県内のトンネル工事で発生する残土は約950万立方メートル。公共事業での活用を含め受け入れが決まった搬入先は26カ所で、処理できる量は全体の約5割。他に地権者らと調整中の候補地が約20カ所あるが、全て受け入れが決まっても約1割が未定のままだ。

 16年に南アルプストンネルでの工事が始まった下伊那郡大鹿村では現在、村外に抜ける主要な県道を残土運搬のダンプカーが1日平均500台余通行する。村観光協会は、観光客への影響を懸念する。

 JR東海は、村内の工事は静岡県の工事とは関係なく、26年度内の終了予定と繰り返し説明してきた。同協会の平瀬定雄会長は「26年度内終了の前提で負担も我慢してきた」とし、「これ以上、工事の影響が出ないよう当初の説明通り工事を終わらせてほしい」と強調する。

 集落の下でトンネル工事が計画され、水枯れや周辺の自然環境への影響が懸念される同村釜沢地区の自治会長谷口文子さん(48)は「静岡だけでなく、長野を含めほかの地域でも事故や追加の対策が必要になり、工事が遅れている」と指摘。「いつまで工事の負担や影響が続くのか不安。新型コロナなど社会情勢が変化している。工期だけでなく、計画全体、開業後の経済効果などもいったん見直す必要がある」と訴える。

 飯田市の佐藤健市長は「JRには引き続き静岡県をはじめとする関係者との協議を進め、早期開業を目指していただきたい」とコメントした。

 国土交通省で記者会見した同社の沢田尚夫常務執行役員は、沿線自治体に対し「駅ができる地域は期待が非常に大きく、状況をきちんと説明する」と説明。開業時期が明確にならないことに関し「懸念があることは承知している。各地区で自治体や自治会と連携しているので情報交換や情報提供をしていく」と述べた。

(葉山大則、伊沢智樹、佐藤勝、実延達郎)

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